伊藤達也元金融相「ウィズコロナでも経済を回していく体制整備に取り組みます」【インタビュー】
第49回衆議院議員総選挙は10月31日の投開票日に向け、熾烈な戦いが展開されている。東京22区では自民党の伊藤達也元金融相(前職)、立憲民主党の山花郁夫元法務副大臣(前職)、れいわ新選組の櫛渕万里氏(元職)、「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」の長谷川洋平氏(新人)がしのぎを削っている。この選挙区はこれまで伊藤氏と山花氏による争いが続いてきたのだが、今回はかつて23区で当選した櫛渕氏も参戦。熾烈さが増している。現在の日本は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が長引き、経済の疲弊が目立つ。今後の日本経済の立て直しも含め、元金融相の伊藤氏に話を聞いてみた。
一番力を入れている分野、政策を教えてください。
「得意分野はマクロ経済政策、中小企業政策、金融政策などです。特に中小企業政策は、夫婦で飲食店を営みながら政治に挑戦してきた私のライフワークです」
コロナ対策は第一ということを踏まえたうえでおうかがいしたいのですが、喫緊の課題としてはどういったことを考えていますか?
「エビデンスの基づいたコロナワクチンの3回目接種に向けた準備、経口治療薬の開発普及や医療体制の再構築を行い、第6波に備える必要があります。また、コロナ禍によって、格差や機会の不平等が拡大し、経済は傷つきました。個人や事業者向けの給付金を始めとしたセーフティネットの強化、デジタル接種証明や検査結果を活用することで、ウィズコロナでも経済を回していく体制整備が必要です」
今回はほぼ任期満了の選挙でした。今回の任期(これまでの議員としての活動期間)でやれたこととやれなかったことは?
「やれたことは、自民党競争政策調査会長として競争政策を強化し、携帯電話料金の値下げや銀行振込手数料引き下げに道筋をつけました。フリーランスの方が安心して働けるよう、ガイドラインも公正取引委員会と共に策定しました。また、イノベーションを促進するため、GAFAをはじめ巨大IT企業に透明で公正な取引を求める法律も立案、世界に先駆けてルール整備に取り組んでいます。消費者の利益を守り、イノベーションを進めるため、衆議院消費者問題特別委員会の与党筆頭理事として『取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案』『特定商取引法等改正案』を成立させました。
コロナ対策では、多摩地域におけるコロナ専門病院の開設や、医療機関を支援する『新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金』の創設、介護診療報酬の加算、検査の強化などによって、医療提供体制の強化を実現してきました。また、コロナ禍で苦しむ中小企業・小規模事業者を支えるため、これまでの中小企業政策の枠を超え、持続化給付金制度創設を主導しました。感染拡大が長引く中、雇用調整助成金、実質無利子・無担保融資、事業再構築補助金、資本の強化策など対策を実行してきました。
やれなかったこととしては、次の第6波への備え、長期化するウィズコロナの中でも、しっかりと経済を回していく体制の整備はいまだ道半ばです。さらに、コロナ禍以前から取り組んでいた、デジタル経済の健全な発展のために、さらに規制改革、行政のあり方を改革していくことが必要です」
その「やれなかったこと」なのですが、今度の選挙で当選したら具体的にどういうふうに実現していきたいでしょうか?
「ウィズコロナの中でも、しっかりと経済を回していくために、ワクチン接種のデジタル証明や検査結果を活用することで、ウィズコロナでも経済を回していく体制整備に取り組みます。
また、これから『グリーン』と『デジタル』という新たな成長領域はさらに拡大が加速していきます。新たな雇用をつくり、所得を上げる成長戦略で、強い経済をつくります」