藤井聡が語る「たばこ税の増税に見る、禁煙ファシズムと日本経済」
たばこ税の「財源論」は本当か
ーー今月、最終段階となるたばこ税の増税が行われました。たばこ税は貴重な財源になっているという意見もありますが、いかがでしょう。
「この増税問題には、いくつかの問題が入り組んでいると思います。まず、貴重な財源だというのは少し意味合いが違います。たばこ税の年間税収2兆円というのは、大きな額だとは思いますが、たとえば、諸外国では平均で年6%ずつほども経済成長しているのですね。日本で仮にその半分の3%成長するとすれば、もうそれだけで税収は2兆円増えます。たばこ税を増税しなくても、余所(よそ)の国の半分程度の成長があれば、たばこ税収と同じ税収増が見込める。問題は、いま日本はデフレで成長しない国になってしまったので、無理やり税収を捻出するために、増税している。つまり、たばこ税が増税されているのは、日本が成長しないことの弊害というか「しわ寄せ」なのです。
財源論が根本的に間違えているのは、こうした点です。どこの国でも財源は成長なんです。たばこじゃない。逆に言えば、たばこ税で税収を確保するからこそ、経済成長に対する議論が低調になってしまっているわけです。岸田首相の掲げた「所得倍増計画」が実現すれば、税収は120兆ほどになるわけですよ。たばこで増税する必要はなくなります。
もう一つ、なぜ、たばこにばかり増税の目が向けられるかというと、一言で「嫌われもの」だからです。現在、禁煙第一というファシズムが存在していて、このファシズムに乗って、喫煙者には増税しても良いとなっているわけです。社会的ないじめの構造です。社会的弱者やマイノリティから税金を取るという、悪癖を反映するのが、たばこ税の増税ですよね。そういう意味で、複層的で深刻な問題だと思います」