豊島区×吉本興業でSDGsを伝える。世界に誇る「国際アート・カルチャー都市」を目指す

写真左 仲良平氏:吉本興業株式会社 取締役(現職)。ライブ事業を中心に制作部門に関わる業務に携わる。2021年豊島区国際アート・カルチャー都市プロデューサーに就任。豊島区在住。写真右 羽根田みやび氏:吉本興業ホールディングス株式会社 執行役員(現職)。2016年よりSDGsへの取り組みを推進する部署の責任者となる。

――初参加となる「としま文化の日」ですが、吉本興業はどのような取り組みを行うのでしょうか。

仲良平氏(以下、仲氏):期間中、さまざまな施設で「としま文化の日」を盛り上げます。池袋西口公園野外劇場「GLOBAL RING THEATRE」では、アクロバティックなスポーツミュージカル『energy 〜笑う筋肉〜』を披露し、健康寿命の延伸という社会課題に向き合います。東京芸術劇場では、トキワ荘をオマージュしたオリジナル青春コメディ芝居『トキワ荘のアオハル』を上演。吉本興業ならではのコメディ芝居が芯にありつつも、伝説のトキワ荘が現代にもたらすメッセージを表現します。区内最大級のオープンスペースがあるイケ・サンパークでは、『Warai Mirai Fes presents ワークショップ』と題して、吉本芸人とSDGsについて楽しく学べるワークショップなどを開く予定です。区民の方はもちろんですが、芸人さんがイベントを行うことで、区外から来るファンの方にも豊島区の魅力を知っていただけるのではと思います。

池袋西口公園野外劇場「GLOBAL RING THEATRE」

――来年、豊島区は区制施行90周年、吉本興業は創業110周年と、アニバーサリーイヤーを迎えます。それぞれ節目への思いを聞かせて下さい。

高野区長:豊島区長になって迎えた70周年では、文化を全面的に打ち出したまちづくりを始めました。そこから20年、来年迎える90周年は、これまでの取り組みの集大成であり、次の100周年につながる「としま新時代のスタート」であると考えます。さまざまな施設が出来上がり、「国際アート・カルチャー都市構想」のコンセプト「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」を進める中、吉本興業さんが豊島区に来て下さり、区内の至るところで連携していただくことが、非常にありがたく、楽しみです。そして、来年のお互いのアニバーサリーイヤーにさらに連携が深められることを楽しみに思います。

羽根田氏:創業110周年、これまで社が継続して来られたのも、応援して下さるファンの方や、お取引先の皆さんの支えがあってのことです。来年は一年を通じて感謝の思いを伝え続けられる年にしたいと思っております。

――最後に、今後のパートナー連携の展望を教えて下さい。

高野区長:私は、この豊島区の文化のまちづくりの魂を次の世代へ繋いでいくことを大切にしています。「過去から学び、今日のために生き、未来に対して希望をもつ」、まさにSDGsそのものです。10年後の豊島区を描くのは子どもたちです。SDGsについてもたくさんの子どもたちが参加し、夢と希望を持った自治体でありたいなと思います。まちに完成はなく、我々も走りながら考えて進んでいますが、SDGsでも文化でも心強いパートナーである吉本興業さんを始め、色々な方のご協力をいただきながら、SDGsの目標年の2030年、豊島区制施行100周年の2032年、そしてその先へ、持続発展する国際文化都市、そして「住みたい街・住み続けたい街」をつくっていきたいと思っています。その中で、来年の90周年、また吉本興業さんが大きな役割を担いSDGsが軸である2025年の「大阪・関西万博」イヤーでも、豊島区も次代に向けてしっかりと取り組んでいきたいと思っています。

仲氏:区長が大切にされている「文化」をキーワードに、区民の方や子どもたちへ吉本興業グループとしてできることはたくさんあるかと思います。今回の「としま文化の日」に限らず、一年を通してお手伝いできることがあればと思っています。

【豊島区のSDGs未来都市への歩み】
豊島区は2014年、民間有識者で構成する日本創成会議から、23区で唯一の「消滅可能性都市」との指摘を受ける。豊島区では、これを自身のみの課題でなく、人口減少社会における国全体の課題であると捉え、モデル都市になるべく、文化を基軸に持続発展する「国際アート・カルチャー都市構想」を掲げた。文化・空間・国際の3側面を進め、2020年を目標に「23のまちづくり事業」としてハードの整備を進めると同時に、文化コンテンツの呼び込みや掘り起しも行い、まちが一丸となってまちの魅力を高めてきた。そして、2020年には内閣府から「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」のダブル選定に至った。
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