11月1日にアルバム『CHORUS IN CHAOS』をリリース。ママさんコーラス演劇「うたうははごころ」って?〈インタビュー〉
子育ての大変さを共有できるアイテムになれば
昨年からの新型コロナウイルスの影響で、演劇界では感染拡大防止のために泣く泣く公演を延期するところも。「うたうははごころ」もそうだった。
菊川「去年の3月に単独公演をしようと思ったんですが、状況的に難しいということで延期しました。子供はソーシャルディスタンスとか難しいし。集まっても遊ぶなとか喋るなとかいうわけにもいかないので、なかなか集まることができなくて、去年はオンラインで稽古をして、映像をYouTubeで配信したりということを中心に活動していました。公演についてはまだ無理かな、ということで、その代わりと言ってはなんですが、アルバムを作ろうとなりまして、11月1日に『CHORUS IN CHAOS』というアルバムをリリースしました。コンポーザーの人に入ってもらって音楽的にも仕上げています。曲自体の演劇的な部分と音楽的な部分、両方で楽しんでもらえれば」
今の日本の子育て環境に対するメッセージみたいなものも入っていたり?
稲毛「ノーコンセプトです。伝えたいことはないです(笑)」
菊川「啓蒙するつもりはないんだけど、コロナの中で出産した友達もいて、すごく大変だと思うんです。外に出られないし、一人で子供を育てないといけない。本当に大変だと思う。それに、子供は楽しいけどしんどいなって思っている人は多分たくさんいると思う。私たちはなにも助けられないけど“同じ気持ちだよ”ということを共有できるアイテムになればいいなという思いはあります。心のオアシスとでも言いますか。子育てをしていると毎日“わーっ”てなることがあると思うんです。もちろん腹が立つことも。でも、それも面白くないですか?って。イヤイヤをする子供は大変だけど、それもちょっと面白いよね、って。もともとそういう歌を作って公演で歌っていたんですが、CDにしたので、公演に来れなくても全国の人が毎日聞けるようになりました(笑)。覚えて一緒に歌えるし」
この「ママさんコーラス演劇」は女優さんにとっては新たな活躍の場所。見る側にとっては新たなエンターテインメントといえそうなんですが、メンバーの子育てが終わったらどうなる?
菊川「それは子供が二十歳になってみないと分からない気がします。曲は子供たちを見て作っているんだけど、0歳の時と5歳の時に思うことは違うし、できる歌も違う。こちら側の気持ちを歌っているので、子供が何歳になっても歌えるといえば歌えますよね」
稲毛「思ったよりドキュメンタリーなんです。子供が1歳の頃はおむつとかイヤイヤについての歌、来年小学生となったらラン活、ランドセル活動の歌ができている。子供が30歳になっても手を焼いていたら“役者やってる30歳の息子”みたいな歌ができるかもしれない」
菊川「私が言うのもなんだけど、それは地獄じゃない?(笑)」
30歳になっても子供は子供?
稲毛「子育てって終わりはないんじゃないかって予感はあるのかもしれません。それに自分の子供が大きくなっても、0歳や1歳の子育てをしている人たちには寄り添っていたいと思っています。全ての人が子供だったし、多くの人が子育てをしていたのに、子育て環境が良くならないのは過ぎ去ってしまったものを切り捨ててしまう部分があるからなのではないかと思うんです。忘れちゃうから良くならない。子供が育つにつれ、自分たちの目の前にある課題は変わっていくけれど0歳の時の夜泣きが収まらなかったあのつらさとか、かわいさといったものには寄り添っていきたいという思いはあります」
子育てに協力的でない世の中のお父さんたちにも見てほしい?
菊川「特に“お父さんたちに見てほしい!”といった主旨はないです。どんな立場の人でも楽しんでくれたらうれしいです」
延期した公演については「落ち着いたらやりたい」とのこと。ちょっと子育てに疲れたかも、と思っているお母さん、取りあえず今回リリースのアルバムをちょっと聴いてみて!