小さくてもふもふ!コケ愛好家・藤井久子さんに聞く身近な「コケめぐり」の魅力
コケめぐりの持ち物を見せてもらうと「岩場や壁面など乾燥の強い場所に生えるコケは、霧吹きで水を吹きかけるとすぐ生き生きします。ルーペはどんなコケかを見るのに役立ちます。自然の中に生えているコケの群落は1種類で構成されていることはあまりないので、10~20倍くらいのルーペがあればその場を動かなくても3~4種類のコケが観察できるんです。研究者は主に種類を見分けるために使いますが、ただルーペで眺めてみるだけでも“コケって本当にきれいだな”と思いますよ」と藤井さん。
実際にルーペを目に当ててコケに近づくと、小さなコケの世界が思ったよりも複雑で、さまざまな表情をしていることが分かる。
「素顔はこんなコケだったんだなというのがよく分かりますよね。遠目だとすべて同じように見えますが、実際は1カ所に数種類のコケが生えていて、さらに季節によっても表情が変わります。ここに生えているホソバミズゼニゴケは、今は普段と違う姿で秋から冬にかけて体の縁に切れ込みが入り、無性芽(むせいが)を作ります。この無性芽によってクローンのように増えることができます」
接写機能のついているカメラかスマートフォン用の外付け接写レンズ、藤井さんはさらに背景がぼかせる一眼レフカメラも常備している。コケの種類を調べるためのポケット図鑑、気になったコケや場所を書き留めておく筆記用具もあると便利だ。
自宅の近くでコケを見つけるためのポイントは?
「コケは土がない場所でも生えますが、植物なので水と日光は必要です。ジメジメした暗い場所に生えているイメージですけど、ちゃんと光が当たって、特に街は乾燥しがちなので水が得られる場所というのが大切。街の中で水がどこを流れているかを意識すると見つけやすいと思います。あとは人に踏まれたくないなとか、風通しのいい場所がいいよなとか、自分がコケの気持ちになって(笑)考えていくと見つかりやすい。目に入っていても意識してないことがほとんどなので、“コケを見つけたいんだ”という気持ちで歩くのが一番ですね」