TIFFグランプリはコソボの女性監督作!ユペール審査委員長も映画祭の多様性を評価

観客賞を受賞した『ちょっと思い出しただけ』の松居大悟監督はスペシャルメンションとしても表彰

 東京グランプリ/東京都知事賞に輝いたのは、コソボを拠点に活動するカルトリナ・クラスニチ監督作『ヴェラは海の夢を見る』。クラスニチ監督作は「この映画祭に出品されると聞いたときも大変光栄に感じました。なぜなら東京、日本は私の夢だからです。この映画祭に初めて参加するコソボ映画ということにも感激しています。受賞の知らせを聞いたときは喜びのあまり大声で泣き笑いしました。ありがとう東京、ありがとう日本!」と、受賞の喜びをビデオメッセージで寄せ、駐日コソボ大使館のアルバー・メフメティ臨時代理大使が登壇しトロフィーを受け取った。

 国際審査委員長のイザベル・ユペールも「コソボの勇気ある女性監督作品群にすばらしい1作が加わった」とたたえ、この日は欠席となった小池百合子東京都知事も「芸術文化は持続可能な社会を作るためになくてはならないもの。映画は多くの人々の共感を呼び、相互理解を得ることができる媒体です。芸術文化を通して今後も、多様な魅力にあふれる東京を世界に発信していきたい」とメッセージを寄せた。

 ユペール審査委員長は総評として「15作品審査し、最も強く印象に残ったのは、映画の多様性の豊かさでした。英語、フランス語、日本語、アゼルバイジャン語…といった言語の多様性、映画とは何かを考えさせるような表現の多様性、そしてコミュニティーの多様性です」と、さまざまな国や地域の作品が集まった同映画祭を評価。

 また、受賞後会見でもユペール審査委員長は「今回はとても野心的な試みで、多様性を生かしたセレクションとなったが非常に成功したと思う。コロナ禍でこのような映画祭を実現できたことも非常にすばらしいこと」と映画祭を振り返った。