悔しいほど完璧に映像化された“文学”映画『ひらいて』【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
作・演出をやらせていただく舞台『ラフ・レターズ』の稽古が始まりました。2週間という短い稽古期間なんですが、充実した時間が過ごせそうな予感がビンビンしています。ご期待ください。
先日、“元天才子役”ということで「ABEMA Prime」で喋ってきました。“元”が天才にかかってるのか子役にかかってるのかは今後の仕事ではっきりさせていきたいと思っている今日この頃です。これからもこういう機会をいただけたら、まあいろいろ喋ってみようと思っています。
さて今週も始めましょう
すげー映画を観てしまいました。
山田杏奈ちゃんとジャニーズの作間龍斗くんが主演て聞いたら
なんというか、ファーストインプレッションは「アイドルを売り出すための少女漫画的なストーリーの映画」だろうなと、思うじゃないですか。
全然、違った。
NTR…好きな人が他人に抱かれると興奮するみたいな“寝とられ”と呼ばれる性癖のジャンルがあるそうなんですが、この映画、
主役の杏奈ちゃんが、大好きな作間くんの彼女を、寝取ります!
女の子同士のベッドシーンももちろんあって、ジャニーズファンであろう女性に挟まれて、これをみせられる罪悪感、いや、背徳感!!
寝取られる側の女の子、三角関係の3人目を担う芋生悠ちゃんの演技も鋭くて「どっかでみたな」と、思ってたら、大好きな劇団「山田ジャパン」さんに出演されていた実力派。
病弱な女の子で主人公のライバルと書いてしまうと、スゲぇチープに聞こえるけど、映像の中で、彼女の醸し出す、ズルさとか美しさという“それ以上”の表現は、是非、デッカいスクリーンで観ていただきたい。
他の登場人物もそうなんですが、この映画の肝は“主人公がナニモノなのか最後まで明かされない”こと。
最近の映画って「可愛そうない女の子です」!っつって始めるじゃないですか!
きちんと「周りの評価」とか「自己紹介」は、台詞として書かれているんですが、観客からすると「本当に、そうなのかな?」と、疑問の残る表現が続くのです…
それが、すごく良い!
映画って「人間」を、どれだけ深く描けるかなんすよ!
若い頃って、どれが「性欲」「恋愛」「友情」…わかんないじゃないっすか!
そういう“あの頃”の感覚が、実に鮮明で、語らないのに文学的で、とても丁寧に画面に焼き付けられていて、
最高でした。
エンドロールを見たら「原作 綿矢りさ」
蹴りたい背中、大好きだよ!
お前か!そりゃそうだな!これを映像化することに成功したスタッフとんでもねぇな!
と、上映終了後、椅子からちょっと飛び上がるほどの傑作でした。