「猫のミイラ」に、古代エジプト人の「現代病」も発見!『大英博物館ミイラ展』がすごい

写真上、壁画レリーフに描かれた肉やパン。写真下、円形や葉の形をしたパンも発見された。

主食は、パンと大麦ビール。肌を守るオイルは必須

 「食」「健康」「音楽」「家族」などのテーマに沿った展示物で、古代エジプトの暮らしぶりを垣間見ることもできる。

 遺跡で発掘された食べ物の遺物や壁画などから、主食はパンと濃厚な大麦ビールで、裕福な人はワインも飲んでいたことが分かった。肉は特別な機会にのみ食べられる贅沢品だったが、裕福な人は頻繁に肉を食べていたようで、多くのミイラの血管にプラーク(沈着物)が存在していることも、このことが理由の一つと考えられている。

 また、古代エジプトでは、暑く乾燥した気候から肌を守るため、人々は保湿剤としてオイルを塗っていた。「コホル」と呼ばれる黒い粉はアイライナーとして広く使われ、目を大きく見せるだけでなく、菌を殺したり、ハエを防ぐことで目を守る効果があったという。

 エジプト文化を象徴する煌びやかな首飾りや、指輪、腕輪などは、男女ともに所有者の地位を示した。それらには、現世と来世で彼らを保護するために文字や図像が施されており、当時の信仰や死生観に触れられるほか、化粧道具やアクセサリー、子どものおもちゃからは、数千年前の人々の暮らしを身近に感じることができる。

 本展では、国立科学博物館所蔵の「猫のミイラ」も初公開。鳥類学者で冒険家の蜂須賀正氏氏がエジプトで入手し、寄贈したもので、日本だけの特別企画。匂いが再現されたコーナーもあり、知られざる「ミイラの匂い」を体感することができる。

 「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」は、国立科学博物館で来年1月12日まで。

 

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