GENERATIONS 関口メンディーが”飲食店2.0 ！?”を体験した話＜メンディーのコラムンディー 第41回 ＞

今回は先日いった全く新しいスタイルの飲食店の話をしたいと思う。
ある種のカルチャーショックを受けるとともに、勉強になった飲食店の話だ。

僕が足を運んだのは池袋にあるYAKINIKUMAFIA という焼肉屋さん。
そこは登録者100万人を越えるYoutubeチャンネルを運営するYoutube講演家の鴨頭嘉人さんのお店である。

鴨頭さんはその「Youtube講演家」という謎めいた肩書きから賛否を集める。
肩書きに捉われない僕からすると、何故そこまで非難されることがあるのか分からないが、その大部分を占めるのは「存在自体が新しく稀有であるから」だと思っている。
出る杭は打たれるという名の向かい風を正面から受けている印象だ。

鴨頭さんを知ったのはコロナ禍に入ってからのことだった。
外出自粛期間中を自分を高める学びの時間にフルベットしようと決め、情報収集に躍起になっている最中、異彩を放つチャンネルに目を奪われた。
それが鴨頭さんのチャンネルだったのだ。
スキンヘッドというインパクトのあり過ぎる見た目とハチ切れんばかりスマイルは、一瞬にして脳裏に焼きついた。
おもむろにチャンネルへ飛び、次から次へとクリックして動画を見漁った。

謎の講演家の言葉には、人を惹きつけ、元気にさせる何かがあった。言葉が生きていた。そこから書籍を読み、ラジオを聴き、気付けば鴨頭さんのファンになっていた。

挑戦家であり、実践家。日本にチップの文化を作る夢を持った鴨頭さんが焼肉屋さんをオープンするという。
どんなエンターテイメント空間になっているのか興味があった。
さっそく予約をして足を運んだ。

それは池袋駅から歩いてすぐの場所にあった。
ビルの7階。「チンッ」という到着音と共にエレベーターが開くとラグジュアリーな異空間に誘われた。
日本っぽくなくアメリカ ニューヨークの雰囲気の良いレストランを思わせた。
オシャレな雰囲気と裏腹にそこには活気があった。
お洒落=クールという僕の概念はひとり寂しそうな顔をしてエレベーターで帰っていった。

ここでは働く従業員さんのことを「ステージパフォーマー」と呼ぶ。
作ったものを提供するだけではなく、提供の仕方、お客さんとのコミュニケーションにまで気を配る。
そして笑顔を絶やさない。
ステージパフォーマーにはそれぞれファンがついている。

SNSなどでも積極的に発信をして、その数を増やす。
“食べに行く”と同時にステージパフォーマーに”会いにいく”という仕組みが成り立っている。

そんな焼肉屋さんは今まであっただろうか？

少なからず僕が学生の頃に働いていた牛丼屋さんでは、どんなに丁寧に接客しても「君に会いに来たよ」といって牛丼を食べにきた人はいなかった。

ファンがつくことで何者かになれるというステージパフォーマーのシステムは画期的だ。
もしかしたらお店を離れた後も一生自分を応援してくれる人に出会えるかも知れない。
しかもコミュニケーションスキルを鍛え、接客を磨けば「ありがとう」という気持ちをチップにして頂くことができる。
応援の気持ちである。
鴨頭さんの近くには応援があふれている。
僕が若かったら絶対ここで働くと思った。

YAKINIKUMAFIAをみていると、演者とスタッフという境目はもうなくなっていると感じてしまう。
人類総発信時代は、それぞれにファンが付いていく時代なのかもしれない。

肝心の焼肉について触れていなかったが、とっても美味しかった。
いや、ウメンディーだった！
和牛 × ジンギスカン “WAGYUJISUKAN”という
ジンギスカン用のプレートで和牛を頂くスタイル。
初めての体験に心が踊ったこともあり、より美味しく感じたのかもしれない。
お酒も美味しい。
何よりYAKINIKUMAFIAという空間には、学びがあふれていた。

人良し、味良し、学び良し。
こんな体験ができるお店は他にない。
チップ文化を含めて、僕は応援したいと思っている。

※GENERATIONS 関口メンディーの「メンディーのコラムンディー」は、毎月第１・第３木曜更新予定