SDGsの原点が会津漆器にあった<寺尾聖一郎の「SDGsなライフシフト」>

JAPANといえば漆

漆のことを古い呼び方として「Japan」と呼ぶこともあります。つまり漆そのものがJAPANと解釈されていたのです。

世界に認められている日本の伝統的な産業の漆塗の技術の歴史は縄文時代前期にまで遡ります。最近の発掘では約1万2000年前に漆が使用されていたことがわかってきました。会津漆器の文化が始まったのは約430年前の天正十八年(1590年)に豊臣秀吉の命を受けて会津の領主となった蒲生氏郷公が産業として奨励したことによります。江戸時代には会津藩の藩祖である保科正之公が漆の木の保護育成に努め、その後の歴代藩主が技術革新に熱心に取り組み、中国、オランダなどへも輸出され隆盛を迎えます。*会津漆器協同組合サイトより。

1本の木からコップ一杯しか取れない漆の木

1本の木から採れる漆の量は、わずか約180グラム。 採取するために15〜20年かけて木を育て、6月から10月までの5カ月間で漆を採り尽くし、役目を終えた木は伐採されます。 約20年の歳月をかける漆は、「血の一滴」といわれるほど貴重なものなのです。

漆ぬりを知るツアーに参加

前出の「漆とロック」の代表、貝沼さんがプロデュースする会津漆器のガイドツアーに参加しました。この時期に1回しか開催されないツアーは極めて充実した内容で、グッドデザイン賞、ウッドデザイン賞を受賞したこともある「めぐる」ブランドの製造過程をたどる1泊2日のツアーで、トチノキの伐採から木地師と塗師の現場までサステナブルな製造工程をまるごと体験することができました。

*漆とロック(株)https://www.urushirocks.com/

 

樹齢100年のトチノキの伐採は命がけの作業

毎回登る度に命の危険を感じるという五十嵐健太さん 

特殊伐採といわれる方法で樹齢100年の木を伐採する

伐採後に樹齢を確認すると、100年を軽く超えていた。

参加者がロープで引っ張りながら大木を安全な方向へ倒す。

 

木地屋さんの仕事

伐採された木材は、木地師(盆や椀を作る職人のこと)さんの所で1年以上乾燥させます。

 

三代目木地師の石原晋さん。初代は昭和天皇の御前にて木地挽きを披露した方

伐採した木は約1年以上乾燥させます。

乾燥させた木材をろくろうで削り円形の木地をつくります。

角材から削られた器の原型となる木地

きれいに削られ、なめらかな器の原型