SDGsの原点が会津漆器にあった<寺尾聖一郎の「SDGsなライフシフト」>
◆塗師(ぬし)の工程
漆を塗る職人は塗師(ぬし)といわれます。下地作りの工程を終えた木工品に漆を塗ります。塗師職人の吉田徹さんを訪ねました。
1本の木から180グラムしか取れない漆を大切に絞りながら塗る。
塗師の吉田さんが、ろくろうに器を固定して回しながら一挙に塗ります。
塗る作業を何度か繰り返しながら漆の光沢を出していくのは、匠の技です
美しく、香りも豊かな漆の器が店頭に並ぶ。
◆伐採した木から器を購入する
伐採した木が製品になるまでは2年以上かかります。製材し、1年間ゆっくり寝かされた後で、漆器職人さんの手に渡り、木地師→塗師とさらに十カ月ほどかけて作られていきます。漆とロック社では毎年12月15日~翌年の3月15日の間に限定300個のオンラインオーダーを受けています。十月十日とはまさにこの事。自然素材の循環と季節のサイクルに即したモノづくりがここにあります。
https://meguru-urushi.com/10m10day/seasons.html
◆購入プロセスまでのカスタマージャーニー
会津漆器ブランド「めぐる」は購入までの間、その工程状況をはがきで知らせてくれます。2年間という歳月を待つ間も飽きさせずに待つことができるので、待っている間が楽しくてワクワクの体験ができる器のマタニティタイムなのです。
「めぐる」の動画
https://www.youtube.com/channel/UCsE5mRMQfhIyyA8tuTm49WQ/featured
伝統工芸品の製造過程を見たのは初めてでした。命を張って伐採に取り組む木こりさん、歳月をかけ乾燥させた木材から芸術的な形にしあげる木地師さん、1本の漆の木からわずか180グラムしかとれない漆を丁寧に塗り込む塗師さん、伝統工芸を楽しみながら体験ツアーを行ったり、販売までを行い、ワクワクしながらストーリーを届ける漆とロック社……どの工程も初めて尽くしで、縄文時代から伝わる伝統工芸の歴史を一挙に体験することができました。
会津漆器「めぐる」は、ダイアログ・イン・ザ・ダークとのコラボレーションで、アテンドたちのデザイン監修によってつくられた共創ブランドです。消費社会から循環社会へとSDGsを目指すなかで、この文化を多くの方に知っていただきたいと思います。
「消費の反対は循環」。この言葉通り、自然の流れに逆らわずに、100年かけて作り、100年かけて使うモノづくりの時間と使用する時間が同じサイクルに感動しました。そして、漆の抗菌力は新型コロナウィルスに対する抗菌効果があるという報告も、福井県の漆業者が発表しています。まさにSDGs、コロナ、循環社会、カスタマージャーニー全てが揃ったサプライチェーンなのです。ぜひご自宅の漆食器をもう一度見直す良い機会にされてはどうでしょうか。
◆参考サイトリンク
・漆器「めぐる」公式サイト https://meguru-urushi.com/
・「めぐる」オンラインストアのリンク先 https://meguru.stores.jp/
・石原木工所(木地師) http://aizu-crafts.site/writer/ishiraha-mokkoujyo/
・佐久間建設工業(伐採) https://www.sakuma-ci.com/
・うるし万作(塗師) http://www.nurinuri.jp/
・コロナ抗菌効果 https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1383848
エンタテインメント&コンテンツビジネスを中心に31年間勤務した大手広告代理店を2020年に早期退職。自らパーソナルトランスフォーメーション(PX)を志し、人生100年時代のライフシフトを実践中。”アイデアで世界を繋ぐ”を目指すPRクリエーティブ会社(株)リレーションズを設立。同年ニューホライズンコレクティブ社のプロフェッショナルパートナーとなる。東京浜松町に2020年8月に開業したダイアログミュージアム”対話の森”のPR&企画プロデュースなどを担当。趣味は料理、テニス。資格:障がい者スポーツ指導員、准認定ファンドレイザー行政書士、宅建、調理師。NPO法人LWC理事「クイズに答えてお米を寄付するサイトハッピーライスの運営」 (https://happyrice.org/https://happyrice.org/)。一般社団法人防災キャンパー協会プロデューサー。Twitter:@recommendertera