大島優子、初めての大河ドラマ『青天を衝け』で演じる伊藤兼子は「いい女性」<インタビュー>

 フィナーレが近づいてきた大河ドラマ『青天を衝け』だが、物語はさらにドラマティックな展開を見せている。21日放送の第36回「栄一と千代」で、栄一の最愛の妻である千代が、コレラで突然逝った。そしてその後、栄一の後妻となるのが伊藤兼子だ。

 兼子を演じるのは大島優子。初めての大河ドラマで、出演発表時には「お話が来たときは、喜びと興奮で歓声をあげました」とコメントを発表していたが、出演回の放送を控えて行われたインタビューでは出演オファーを改めて喜びながらも、「物語のラストスパートをかけたところに登場していくんだなと思ったら、うれしさ半分、怖さがどっとあふれました」ともらす。

「とても重大な役」だと大島。

「妹たちを食べさせなきゃいけないと覚悟を決めて生きていますが、転じて、渋沢家に入ります。栄一が実業家として日本の要となっている状態のところでパートナーとなって、何が何だか分からない状態で渋沢家に入ったと思います。私はそういう運命なんだと思って」

 

 

 背をピッと伸ばして渋沢家にやってきた兼子は、言うことは言い、行動する。そんな兼子を大島は「肝が据わっている」、また自らの人生にやってきた波乱のようなものを「自分の中に落としていれてしまう女性の強さがある」という。

 ただ「結構心は折れたと思います」と心も寄せる。渋沢家には、変わらず千代という大きな存在の面影があり、その子どもたちもいる。後妻である兼子にとってはなかなかのアウェイだ。「家族になじめないし、すごく気まずい。でもそれは当たり前のこと。(兼子は)自分がなじんでいかないとって、努力して生活していたと思います」

 そんな兼子を、大島は「いい女性」だという。

「渋沢家に兼子が入ってからも、栄一は何度も千代さんのことを思い出しているんです。その姿を見るとすごく寂しい思いにもなるんですけど、千代さんを大事にしている思いもそのまま大事にしてあげます。……兼子はすごく強い人というか、懐が深い人。まるっと包み込むような母性があるんだろうなと思います。いい女性だなと思います」

 明治になって周りに振り回されることも多かった栄一だが、兼子はそんな栄一に振り回されながらも負けじとついていくらしい。

「栄一さんの性格やキャラクターが愛嬌のある、常に心に遊びがある人。発する一言や行動にとても影響力があって、楽しい方にも大変な方にも振り回す人間だと思うので、それに自然と心を動かされるような感覚でいます」

 栄一を演じる吉沢について聞くと「エネルギーがすごい」とのこと。

「こちらに与えてくれるエネルギーもそうですし、本人の中に燃えたぎっているエネルギーもすごい。それを感じるので、緊張感も生まれるし、自分ももっとやりたい、もっと隣にいられるような人でありたいと盛り上げてくれます」

 兼子と栄一はずっと連れ添う。残された放送回はわずかだが、その間に経過する時間は栄一と千代が夫婦だった時間よりも長い。印象的なシーンを聞くと夫婦でアメリカを視察旅行するシーンだという。「栄一さんの仕事で行くんですけど、栄一と兼子がすごく楽しそうなんですよ」と、大島。

 栄一と千代とはまた違う、栄一と兼子の夫婦でありパートナーであるという関係。最後まで楽しませてくれそうだ。
 
 『青天を衝け』は、 毎週日曜、NHK総合で20時から、BSプレミアム・BS4Kで18時から放送中。再放送(土曜13時5分~)もある。

(本紙・酒井紫野)

大河ドラマ『青天を衝け』:https://www.nhk.or.jp/seiten/