EXILEで三代目JSBの小林直己が「選択と奇跡」綴る! 半自伝的エッセイ発売
コロナは「自分的には、根底からひっくり返るような体験」
―― コロナがなかったら、なんて考えづらいタラレバですが、仕上がりがまったく別の本になっていた、と。
こんなことを言ってなかったと思いますし……まったく違う人間だったと思います。自分的には、根底からひっくり返るような体験でした。それまでの自分は、どこかなりたい自分に真っ直ぐに向かってなくて、そうした違和感のようなものを改善できず坂道を下っている石みたいな感じで止められなかったです。だから、ものすごく自分と向き合うのは辛かったですけれど、今の自分になれて良かったなと思います。
―― 今の自分と以前の自分の違い、具体的にどんなことがありますか?
例えば、以前はパフォーマンスある時は、「よし、やるぞって」スイッチオンの状態にする感じでしたが、今は、朝起きて顔を洗ってご飯食べて、「いってきます」って家を出て、そのままステージに立っているみたいなことに面白さを感じています。生活と地続きの表現、と言った形です。どちらがいいとは言わないですが、いま自分が一番興味があるのがそれなんです。ステイホーム期間中で、自分ができることが広がったと思います。捨てられたことも多かったし、すごく気分が良くなりました。
この本にもいろんな失敗したことをコラムで書いてあります。真面目だとか理性的とかよく言われますけど、自分にも不真面目なところはあるし、だらしない部分もたくさんある。でもそんな自分も自分で。それを踏まえたうえで、いま自分が出すダンスってどんなのだろうなって。家で1人で踊っているダンスとステージ上で踊っているダンスが同じだったらどんなんだろうなって。次はそれを芝居でもやってみたいし、次やることにワクワクしています。どんなことができるかって。
――ありのままの自分にも「自信が持てた」という意識ではないのでしょうか?
それは、まったく逆かなあ、「諦め」なのかもしれません(笑)。いい意味でですけど。踊りも見てもらう場所がない。家のベランダで踊って配信するか、好きな卵焼き作るぐらいしかできなかったからですから。
本を仕上げるにあたって格好つけるのは辞めようと思ったんです。本の前半は、少し残りがあるんですけど、コロナ禍を経て書きたい内容が変わってきた時に、この本では僕のことを知ってもらおうということを大切にしようと思いました。
そういった意味で、僕の人生に起きた「選択と奇跡」が書いてあります。これを読んでいただいたみなさんの「選択と奇跡」を聞きたいと思いますし、家族や友達同志でお互いの「選択と奇跡」話のきっかけになったらうれしいなと思います。
―― 当初のプランとは変わったのかもしれないですが、直己さん目線でのLDHとグループの話も興味深かったです。
僕たちのグループのことを知ってくださっている方はより楽しんでもらえるかもしれないですね。出来事として知っていたり見ていたことが、僕視点からこういうことが行われていたんだなって改めて振り返って貰えるかもしれません。それもあって、本を最初から読まなくても、読みたいところから読んでもらってもいいように考えて作っているんです。僕自身もそういうタイプなので、読みたいところを読んで楽しんでいただけたらと思います。
―― グループやLDHの部分は、直己さん自身がそのど真ん中にいるのに、すごく俯瞰で見ている印象がありました。
取材していただいた他の方にも俯瞰で見ているような書き方だって言われました(笑)。そんなつもりはなかったんですけど、きっと僕自身がグループの中でそういう立ち位置でいるからだろうなって思いますね。
――グループのなかでのポジション、自身の在り方について書かれている部分があって、そこで答え合わせができました、半分ぐらいですけど(笑)。
すごくのめり込みやすい自分と、俯瞰で見る自分の両方がいるんです。グループの話もLDHの話もそうですけど、自分自身の話についてもそういった視線はあると思います。