人生のリング上と場外乱闘をおかしみとかなしみいっぱいに描く映画『私はいったい、何と闘っているのか』【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
こんにちは、黒田勇樹です。
2021年最後の更新となります。
皆さん、今年はどんな年だったでしょうか? いろいろありましたが、僕はなんとかここまでたどり着けたな、という気がしています。来年もいろいろありそうな気もしますが、まあ、何とかやっていく所存でございます。
とにかく1年間ありがとうございます。来年もよろしくお願いします。
では始めましょう。
安田顕さん主演の映画『私はいったい、何と闘っているのか』を観てきました。
スーパーマーケットに務める中年男性の人生の悲哀を描いたコメディ映画なのですが、まぁ、もうタイトルが“世界中の人に響く文学”
大人になればなるほど、時間は無くなるのに責任は増え「説明している時間がない」から、他者に理解されず、そんなことを続けていると、自分の中ですら“理由”を言語化することを省略し「足を前に出し続けることに専念する」
来年、不惑を迎える筆者には、特に刺さるストーリーでした。
「仕事場でも頼りにされているし、幸せな家庭もある」主人公なんですが、実は良かれと思ってやったことが裏目に出続けたり、思い通りにいかないことが沢山ある。
“喜劇”には、“ユーモア(おかしみ)”か“ペーソス(哀しみ)”のどちらかが必要といわれているのですが、そのどちらも存分に描ける最高の舞台設定。
それもそのはず。ペーソスを織り交ぜたユーモアの2代巨頭の片翼“つぶやきシロー”さん原作!「そういう着眼点と思考回路」を存分に発揮されていらっしゃいました。あ、ちなみにもう1人はヒロシさんです。
スーパーって実は映画の舞台になりがちなのですが、既視感を持たずに観ることができる良作でした。
その理由のひとつに「癒しの場所」が、複数用意されているところにある気がして、家庭、川原、食堂、仕事場の人間関係の中にすらある。なのにそこが“戦場”になって、リングから降りてるはずなのに乱闘が始まったり、まさに“人生ってそうよね”感、たっぷり。
以前、お仕事をご一緒させていただいた際、つぶやきさんは「都内の移動はほとんど自転車」と仰られていて、そういう「沢山の景色ごとに浮かぶ感情」みたいなものを敏感かつ繊細に捉えられているんだろうな、と思いました。
キャスティングも、端から端までバチコンとハマっていて、年末年始、笑いや癒しや感動を求める方には、是非おススメです。