ノンスタ石田と小野塚勇人(劇団EXILE)、 コロナ禍の「しゃべっちゃダメ」のルールでコメディ舞台

 

 チャレンジは日常とはいえ、より挑戦的な作品。そこで、石田がタッグを組むことに決めたのが、劇団EXILEの小野塚勇人。本舞台の主演だ。出演はオーディションで決まったという。「こんな治安の悪い、吉本興業東京本社まで来ていただいてね」と、石田は笑う。

 オーディションはこれまでに経験したことがないものだったと、小野塚は振り返る。

小野塚勇人(以下、小野塚):ある状況を与えられて、それに対して、言葉を使わずにリアクションするというものでした。石田さんが手を叩いたら、自分の隣りにいる友人が何らかの暴露したことを意味していて、僕は驚くんだけど、それを飲みこむ。これを何度か繰り返しました。手を打つ数が2回ならその暴露の内容が2倍の意味になって。言葉はないので自分のなかで何を言われているのかをイメージしました。最初はその人が誰々と付き合っているんだよねって教えてくれるような場面で、それがどんどん膨らんで、最後にはその人のお母さんと自分のお母さんが一緒なんだよねって伝えられる。え? お前と俺は兄弟なのか!とかいうリアクションです(笑)。オーディションに来るまでは何も聞かされていなかったし、台本もないので、たぶん瞬発系になるんだろうなと予想はしていたんですけどね」

 石田は、そのオーディションで、主役は小野塚しかいないと感じたという。

石田:瞬発力もそうですし、何よりもその場の空気感を楽しもうということができているなって。この舞台はコメディーですし、まずは自分が楽しまないといけない。それに、舞台上で受け身だけやっていても物語は進んでいかないですから、俺が後ろに下がっているだとか周りの様子を見て、ここは自分が動くところだと感じてベストなタイミングできれいにやってくれた。勘がいい子だなって思いました。オーディションでそんなでしたから本番まで稽古をしていたらすごいところまでいけるんじゃないかな」

 そんな期待を寄せられる小野塚が演じるのは、4兄弟の一番下の雅ノ花。小野塚によれば、ちょっと調子のいい力士なんだそう。そんな役にどう臨んでいくのか。

小野塚:役は稽古場でみんなと一緒に作っていこうと思っています。ただ本格的に稽古に入る前に、相撲ですし力士ですから、少し相撲の稽古みたいなことはやらないといけないのかなと思いました。でも一番はお調子者で愛される人間っていうところだと思っています。セリフがないので動きになってきますから、面白い動きを見ておこうかなと稽古前に見ていました。結構アクションもあるので、そこでコミカルに見せたいときにはジャッキー・チェンの動きとか参考になるかなって。使うか分かりませんが、使いたいと思ったとき出せるように引き出しに詰め込んでます(笑)。ただ、石田さんもおしゃっていたように、海外っぽいお笑いのほうに寄ってしまうのは嫌だし、そこはバランスをとってと思っています。

石田:稽古は楽しい時間になると思うよ。みんなには明日稽古だ!っていうのじゃなくて、遊びにおいでって言ってるんですよ。ほら、ルールがあるって面白いじゃないですか。なんでもそうですけど、ルールがないと退屈です。しゃべったらあかんけど、みんなで協力して、パスしたりドリブルしたりシュート決めたりしながら話を進める。セッションというかね。そういう稽古になるんじゃないかな。