小池百合子東京都知事が2022年以降の東京を語る。「子供が笑顔で 子育てが楽しいと思える社会の実現を」

 2021年は前年から続くコロナ禍の中、1年の延期を経て東京オリンピック・パラリンピックが開催されるなど東京都にとっては歴史に残る1年となった。とはいえ、それも過去のこと。今年はそのレガシーを生かし、新しい東京を作る第一歩の年となる。小池百合子東京都知事に昨年を振り返ったうえで、今後の東京について語ってもらった。(聞き手・一木広治)

小池百合子東京都知事(撮影・蔦野裕)

 2021年はどのような1年だったでしょうか? 特に、東京オリンピック・パラリンピックについて今はどんなことを思っていますか?

 小池「コロナに始まりコロナに終わった1年でした。その間に東京都としての一大イベントであるオリンピック・パラリンピックを開催。皆さんのご協力によって総力戦で“都民の命と健康を守る”という目標が成し遂げられたと思っています。

 そもそも1年延期で2020大会と言いつつ2021年に行ったわけですし、ましてや無観客という初めて尽くしの大会でした。結果としてスポーツの魅力が世界の人を強く引き付けたのではないでしょうか。30億人の人がテレビで見て、その後もYouTubeなどで280億回も視聴されている。やはりスポーツの中でもオリンピック・パラリンピックというタイトルは究極なものなのだと思います。

 それぞれの競技は非常に人々の心をつかみ、また多数の素晴らしい記録が出ました。また、こういう異例な中でのオリンピック・パラリンピックは人々の記憶にしっかり残ったのではないかなと思います。

 オリンピックとパラリンピックの両方を2回開催するのは東京が初めてでした。多様性と調和をうたっている大会ですから、私としても東京都としても“パラリンピックの成功なくして大会の成功なし”という認識のもと進んできました。

 パラリンピックの構想も非常にきめ細かく行われました。多くの方が初めて知る競技や初めて見るパラの競技で感動されたのではないでしょうか。それによって共生社会としての意識がさらにこれまで以上に高まってきたと思いますし、まさに東京大会のレガシーとして残ったと確信しています。このレガシーをベースとして次のステージに進んでいきたいですね。それにしても大変な1年でした。でも、多くの選手の皆さんからも“開催してくれてありがとう”と、とても率直な言葉をいただいたときは大変うれしかったですね」

 Beyond 2020 NEXT FORUMのアウトプットとして「こども未来国連会議」というものを立ち上げまして、外務省、国連とも連携し、世界の子供たちが世界に向けてSDGsをテーマに発信しました。今年から東京都にも後援に加わっていただきました。今後の東京にあり方を考える上での施策と思うのですが、東京都でも一昨年の秋から始まった「こども未来会議」の取り組み状況や手ごたえについて教えてください。

 小池「子ども未来会議はこれまで5回開催してきました。これまでのいろいろな枠組みにとらわれず、さまざまな角度から議論を展開しています。“子供が笑顔で子育てが楽しいと思える社会”を実現させようということでスタートしたものです。

 目的はずばり、子供を笑顔にすること。街の幸福度みたいなものがここに現れるのではないかと思っています。それには大人の働き方改革も関わってきます。コロナ禍で、テレワークや時差通勤、企業の中には週休3日とか、これまでだったら“えっ?”と思うような働き方、なかなか進まなかったことが一気に進んできています。それで家族と一緒に過ごす時間がこれまでになく増えました。

 いずれにせよ、子供をいかに笑顔にし、子どもの笑顔を伸ばしていくかを目標に、有識者からの提言も受けて東京都子供ホームページを現在作成中です。昔は子供新聞などを学級単位で作ったりしたわけですが、今回は子供の意見を取り入れながら、子供自らが作るホームページにしようと、象徴的な取り組みとして具体化しているところです。昨年12月に『こどもスマイルムーブメント』のキックオフイベントを開催しました。これはオンラインでも視聴できて、都合3600人の方々がリアルタイムで参加しました。

 日本にとっても東京にとっても最大のアセットは“人”です。その中でも、いかに次世代を担う子供たちの夢が実現できる都市であり続けるためには、その夢をはぐくむような人や環境を作っていくか。非常に理念的な話でありますが、コンセプトとしてはいずれも大事だと考えています」

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