小池百合子東京都知事が2022年以降の東京を語る。「子供が笑顔で 子育てが楽しいと思える社会の実現を」
昨年末に「未来へつなぐ TOKYO2020の記憶」、先月には「TOKYOスポーツレガシービジョン」が公表され、都の総合計画である「『未来の東京』戦略」が年度内にバージョンアップされます。大会のレガシーをどう生かし、根付かせていくかがこれからの都政の鍵になると思いますが、今後の競技会場の活用について教えて下さい。
小池「これまでも大会後の利用を考えながら検討してきました。会場にはオリンピックブランドが価値として付きますし、まさにそれがレガシーであり、それがポテンシャルなのですが、それを最大限発揮できるようにする。例えば国際大会の会場にしたり、スポーツの大会だけではなく文化やエンターテインメントなど幅広い活動の場にしてまいります。多様な活用をさらに検討していきます。
まだコロナの問題がありますが、落ち着いたら地元の方々や子供たちに“ここで大会が行われたんだよ”と実際に見学してもらうことも有効だと思っています。
大会では、有明エリアで様々なアーバンスポーツが行われました。スポーツの新ジャンルですから、そこに集積している施設を活用して、仮称『有明アーバンスポーツパーク』といった形で都市型スポーツの場としていきます。特にオリンピックでは日本の選手が多くのメダルを獲得したのも、ソフトのレガシーに入っています。子供たちがアーバンスポーツを楽しみ、その楽しみの中からまた国際的に活躍する選手が生まれてくる、という形でレガシーを生かしていきたいと思っています」
新型コロナウイルスによって逆に改革が進んだというところはありますか?
小池「テレワークは飛躍的に進みましたね。大企業ではコロナ前も活用されていましたが、実際に多くの人が活用するのは今回が初めてだったのではないでしょうか。テレワーク導入のプラスもマイナスも感じられました。ではマイナスって何だろうかを洗い出す必要もあります。大企業しかできなかったと思われていたテレワークですが、中小や零細企業もやってみて初めて、意外と“こういう活用ができるんだ”という発見もあったのではないかと思います。
日立製作所はテレワークによって時間当たりの労働生産性が16%上がったというニュースがありました。技術系の企業だけにあり得るかなとは思いましたけど。不動産業なども、小さな店でも内覧がそのままスマホでできるなど、いろいろな使い方が試されてきました。リアルとテレワーク、バーチャルと両方ができるのは強みかと思います。
今、東京都ではスピード感をもって5Gの環境の整備に取り組んでいます。この西新宿周辺はすでに通信インフラが整っています。特に国際金融の部門では、1秒間で桁が違う売買が行われたりするような時代ですから、通信のスピードは命綱なんですね。そういう意味で国際金融のジャンルで世界の中で選ばれていくためにも通信環境の良さは不可欠だと思います。
世界の都市ランキングではテレワークの伸び率の高さが評価されました。それはもともとデジタル化が遅れていたこともあるのですが、ならば、逆に伸びしろが大きいとも言えるわけです。都としてはさらに通信環境の整備を行っていきます。例えば多摩地区とか島しょ部などは、ワーケーションなどが実際にできるところですし、いざとなれば事務所に出かければいい。リアルとバーチャルのハイブリッドが可能だということが東京のプラス、強みになるのではないでしょうか」