「TRF」SAMが盟友と小児がん支援に挑むわけ「その先に子どもたちの笑顔がある」

新型コロナウイルスの影響で無観客、無料生配信で開催された『LIVE EMPOWER CHILDREN 2021』はのべ10万人以上が視聴

のべ視聴数は10万人以上、東京ドームに換算して2日分

 回を重ねるごとに高まっているという『LIVE EMPOWER CHILDREN』の反響。

保屋松「昨年は、のべ視聴数で10万人以上の方に見ていただきました。オンライン配信になったことで全国津々浦々、病院のベッドで治療中のお子さんでも直接見ることができるのがすごく大きかったと思います。実際に病院にいるお子さんやご家族からも“毎年このライブを楽しみにしています”“コロナ下でなかなか楽しみのない状況で、ライブを見てすごく前向きになれました”といったメッセージを多数いただいて、やってよかったなということは実感しています」

SAM「リアルに換算すると東京ドーム2デイズだよね(笑)。すごいことですよ」

保屋松「このライブを通じて小児がんという病気を知り、まだまだ社会的支援が必要だと理解していただいたうえで募金という形で支援してくださった方々もたくさんいらっしゃいました。こうした活動をきっかけに、小児がんを知らなかった人たちに知ってもらえることはものすごく大きいと思うんです。

 長男は治療の甲斐あって、現在は普通に生活するのに支障はありません。ただ、晩期合併症といって、骨密度が低下して骨折しやすいなど、大人になってから抗がん剤の影響が出ることがあります。そのほかにも長期入院で学校の勉強が遅れてしまう、大人になってから保険に入りにくいなどさまざまな問題もあるのです」

SAM「新型コロナで唯一ポジティブな側面は、オンラインのプラットフォームが増えて、不特定多数の人がライブを見る可能性が増えてきたことですよね。今まで小児がんのことをまったく知らなかったのに“この日、こんなことをやってるんだ”“このアーティストが出るんだったら見てみよう”と興味を持つ方がたくさんいらっしゃる。そこから小児がんを取り巻く世界の現状を知ってもらえることはすごく大きいと思いますし、小児がん病棟にいる子どもたちがライブで盛り上がってくれるってすごくうれしいですよね」

保屋松「長男もそうだったのですが、小児がんにかかると1年くらい入院生活が続きます。抗がん剤治療を1クール(3カ月間)、定期的に続けると抵抗力が一気に下がるので一歩も外に出られない。それが終わると外出許可をもらえるのですが、遊園地やテーマパークなど人混みは感染症のリスクがあるので、結局は自宅と病院の往復だけになってしまうんです。

 コロナ下でそれすらもできなくなって、生のパフォーマンスをオンライン配信で届けられることは、お子さんやご家族にとってもすごく新鮮だと昨年ライブを見た方がおっしゃっていました。いずれテクノロジーがもっと進んでいけば、たとえベッドに寝たきりで起き上がれなくても、VRでライブ会場にいるような臨場感が体験できるかもしれません」

SAM「それはきっと、そう遠くない未来ですよね。僕らもここにきて、オンライン配信のありがたさは身に染みて感じます。デジタルの可能性が広がって、デジタルとエンターテインメントを組み合わせてもっと面白いものができてきている。今、オンライン配信って捨てたもんじゃないなって思っています」

「TRF」として、今回のライブではどのようなパフォーマンスを行うのだろうか。

SAM「特に新しいことをするわけではないのですが、限られた曲数の中で思いを伝えようという気持ちは強く持っています。無観客ではありますが、その先には子どもたちの笑顔があるので、そこに向けてパフォーマンスしていきます。生のライブが一番なのはもちろんですが、“このメッセージをひとりでも多くの人に伝えてください”と多くの方に発信できるのはオンライン配信ならではの強みで、情報の広がり方はより大きくなるのではないかと考えています」