3歳以上の猫 8割が歯周病…健康寿命を守る猫の歯みがきトレーニング

指で口元を触らせてくれるようになったら、指にオーラルシートを薄く巻き軽くこすってみよう

指で口周りを触る、シートでこする…歯みがき習慣は段階的に!

 とくに痛がる様子がないようなら、唾液腺マッサージと合わせて、段階ごとに歯みがきトレーニングを始めていきたい。

 犬猫とのコミュニケーションを図るプロの視点でアドバイスをしたのは、動物トレーナーの須崎大氏。須崎氏は「人の手は気持ちがいいと覚えてもらうこと」「お腹やわきの下など、血管やリンパが通る大事な部分を触らせてくれるようになるまで信頼を築くこと」「歯ブラシやオーラルシートをいきなり使うのではなく、まず猫に匂いをかがせるなどして慣れさせること」など、歯みがきをさせてくれるようになるまでの接し方を伝授。

「少しでも嫌がったらやめる」「できたらほめる、ご褒美をあげる」を心がけつつ「指で触る」から「オーラルシートで軽くこする」、そして「歯ブラシ」へとステップアップを目指す。

 ペット用品の開発・販売などを手がけるトーラス株式会社の赤津徳彦代表によると、オーラルシートは薄く指に巻いて、まずは軽くこするだけでもよいとのこと。食事に混ぜるタイプのケア用品などもあるので、猫の気分や段階に応じて使い分けるとよい。ちなみに、人間の歯ブラシと猫用では、大きさや長さだけでなく毛の柔らかさや太さも異なるので、人間用での代用は避けた方がよいとのこと。

 石野獣医師は「人間の“8020運動(80歳で20本の歯を残そう)”にならい、猫も15歳で30本=“1530”を目指しましょう。猫の永久歯は上下合わせて30本なので、本来であれば15歳まですべての歯がそろっている状態が望ましい。なるべく早い時期から少しずつゆっくりと段階を踏んで慣れさせていきましょう」と話した。

 飼い猫は長生きしやすい一方で、高齢化によりさまざまな病気のリスクも上がる。健康寿命にも大きく関わる口腔環境。人間と猫が心地よさを感じるスキンシップとして、オーラルケアを習慣化していきたい。

 

トーラス株式会社 赤津徳彦氏

 

須崎トレーナー