平野レミ「みんな“ベロつながり”でつながっていく」最新エッセイで語る子育て、料理、家族

長男の唱さんは上野樹里さん、次男の率さんは和田明日香さんと結婚してますますにぎやかな和田家(撮影:中西裕人)

〈結婚したらきっと、奥さんの手伝いを…〉本当にその通りになったから不思議

 当時から家事、育児、お仕事と何足ものわらじを履いていたレミさん。その頃はどんなことを大切に毎日を過ごしていたのでしょうか。

「いつも子どもの健康のことと、和田さんにちゃんとご飯を食べさせることばかり考えていました。家族みんなが健康で笑って暮らしていれば、他のことはそんなにかまわないし、特別しつけをするわけでもなく自由にさせていましたね。少しくらい放っておいても、子どもって変なことはしませんよ。和田さんも私も真面目だから、そういう親の背中をちゃんと見ているのよね。

 和田さんと結婚してから、私はずっと“早く和田さんと私の子どもを作ってみようよ。どんな作品ができるのか見てみたいよ”って言っていたんです。和田さんと私を半分ずつ受け継いでいる子どもって、どんな子になるんだろうっていつも考えていた。そうしたらああいう子たちができちゃったんだから、人生って本当に面白いわよね。長男と次男の個性が全然違うのがまた、おかしくておかしくて。同じお腹から出てきても子どもって違っちゃうんだから、きっと10人産めば10人とも違っちゃうのよね」

 エッセイにも〈息子たちも、今はなにもしないけど、結婚したらきっと、奥さんの手伝いをするようになるでしょう〉とありますが、長男の和田唱さん(TRICERATOPS)は俳優の上野樹里さんと、次男の率さんは料理家の和田明日香さんと結婚され、巻末の鼎談によると2人ともお料理をされているとか。

「そうなの! 本当にその通りになっちゃったんだから不思議ですよね。そういえば下の子は中学生の時、私が旅行に行ってる間に“ガールフレンドを連れてきて何か作ってたわよ”ってうちの母親から言われてびっくりしたことがあったけど(笑)。長男の料理を食べたことはまだ一回もなくて、樹里ちゃんは“ステーキの焼き方がすごく上手だ”って言ってたけど、私には焼いてくれたことがないので食べてみたいです。次男は子どもができてから料理を作るようになって、私もたまに呼ばれて一緒に食べますけどすごくおいしいですよ。

 うちでは和田さんがよく手伝ってくれてました。和田さんにも仕事がいっぱいあるのに、家庭のこともよくやってくれて。お皿は私も洗っていたけど、ある時、食器洗浄機を買って“お父さん、私、食洗機を買ったら最近手がきれいになっちゃった”って言ったら“それは僕が言う言葉だよ”って言われちゃったくらい(笑)。

 昨年『和田誠展』で、和田さんの膨大な仕事を初めて見た時はびっくりしたんです。ものすごく仕事する人だったにもかかわらず、いつも私に“お母さんは子どもの面倒を見なくちゃいけなくて大変だね”と言ってくれて、365日玄関でにっこり笑って“お母さん、ただいま”って帰ってきて、疲れた顔を見たことがなかったんですもの。そのうえ庭や外まわりを掃いてくれたりお茶碗を洗ってくれたり、買い物もしてくれるすごくいいお父さん。夫は同級生のご夫婦に会うと、男友達から“頼むから女房のいる前で手伝ってる話はしないでくれ”って言われるんですって(笑)」