Kōki,が女優デビューで呪怨の清水崇監督にメチャクチャにされていた!傑作ホラー映画『牛首村』【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

黒田勇樹

 Kōki,さんを「キムタクの娘」と呼ばずに紹介するのは、まだまだ難しいのですが、遠からず「あの女優のKōki,」と呼ばれる日が来るんじゃないか?と思わせてくれる、初々しさはあるものの、体当たりでいて芯のある演技を見せてくれたホラー映画『牛首村』。

 お父さん、お会いしたことあるのですけれど凄く演技に熱い方で、その背中を見て育ったうえで「女優やる」っていうんだから、そりゃそうよね。

 監督はホラー映画の巨匠・清水崇監督。呪怨シリーズや、今作の属する「恐怖の村シリーズ」など、もはや「信頼と実績のあるホラー職人」。

 エレベーターから始まり「そんなに全部盛りできんの!?」という“ホラーあるある”のオンパレードなんですが、その調和が凄い。
「バズったらパフェおごる」ってノリで動画配信しながら廃墟に侵入しちゃう女子高生とか、景色がいいからって不謹慎な場所で立ちションしちゃう男子高校生とか、麿赤児さんとか。

 本当に“職人芸”という作風で、誤解を恐れずに、いい意味で言いますが“手癖”でもこのくらい撮れちゃうんじゃないかと思うほどの、ザ・ホラームービー。

 エレベーターなんかもう「サスペンスドラマの灰皿」ぐらいの感覚で、人を殺してくるよね。
 仄暗い水の底からとかファイナルデッドコースターとか、見る度にエレベーター乗るの怖くなるからやめてほしいです。

 動的な恐怖と静的な恐怖が入り混じるストーリーのなかで、やっぱりヒロインは最後に“メチャクチャ”に、されるんですが

「もうこれ“Kōki,”をメチャクチャにしよう」って、ところから企画が始まったんじゃないかと思わせるほどメチャクチャにされていて、メチャクチャ頑張ってて、メチャクチャ良かったです。

 橋本環奈ちゃんの『セーラー服と機関銃』もそうだし「他のジャンルでもう売れまくってる」って逸材の女優デビュー作は、少女漫画原作の甘酸っぱいラブストーリーみたいなのじゃなくて、こういうメチャクチャにされる!のが良いし、実際そういうデビューした人たちの方が売れている傾向ありますよね。

 あと、清水監督が“セルフオマージュ”を、かなり放り込んでいたので、ここもマニアには見所かも知れません。

 あー! ビール飲みながら観たかったなー! まんぼうの馬鹿!

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
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