《インタビュー》吉野北人「どの自分も、すべて本当の顔。その信念を持って生きていく」
「どの自分も全部本当の自分。偽りのない自分」
コロナ禍で必然的に撮影地は日本国内に。選んだのは、地元の宮崎だった。
「僕にとって宮崎は見慣れている場所なこともあって、最初はどんなロケーションで撮影するのがいいのか少し戸惑いながらスタッフさんと相談していましたが、撮影を終えて、宮崎で良かったって思いました。もともと地元愛は強いので、地元のことはよく知っているつもりでしたけど、いざ写真集を撮るんだと宮崎に行ったら見え方が違いました。それに、こんないい写真が撮れるんだって。もっと宮崎が好きになりました」
写真集のコンセプトは「どれも本当の自分」。その意味をタイトルに込めた。
「“As”の二文字はいろんな意味があるんですけど、全部イコール(=)を意味しているんです。僕は、歌、ダンス、お芝居、モデルといろんなことをさせていただいていて、いろんな自分が存在しているんですけど、どの自分も全部本当の自分、偽っていない自分だよって。そういう信念を持って、今という時間を生きていくんだというメッセージを込めました」
そのコンセプトのもとプランを立て、4日間の撮影に臨んだ。
「コンセプトをしっかりと作ることで、いろんなパターンの写真が撮れたと思いますし、たくさん撮影していく中でも同じにならなかったような気がします。ずっと世に残っていくものなので、ちゃんと向き合っていい作品を作りたいという気持ちが強かったです」
思い出の地での撮影は「ちょっと恥ずかしくなった」
撮影では、懐かしく思うこともあれば、新しい発見、そして再確認することもたくさん。いろいろな思い出もできた。
「ひとつだけあげるのは難しいんですけど、海沿いの青島・日南って呼ばれているエリア、この辺りは観光スポットも集まっていて若い人も行きやすいエリアなんです。その海沿いにハンバーガー屋さんがあって。たぶん僕が上京してからできたお店だと思うんですけど、そこで撮影しながら、このハワイっぽい感じをor,若い人たちは好きだろうなあ、おすすめしたいなって思いました。ほかにも真幸駅(九州旅客鉄道肥薩線)もおすすめしたいです。無人駅で、めちゃくちゃ景色が良くて、ジブリの世界みたいなんです。自分はこんないいところで育ったんだなって思いました」
通っていた小学校、友人と行った思い出の場所でも撮影した。
「サンメッセ日南での撮影では恥ずかしい気持ちになったりしたんです。そこにあるモアイ像がある場所は宮崎では知られていて、すごく眺めが良く、僕も学生時代に遊びに行っていた場所なんですけど、今は写真集の撮影で来ているんだなって思ったら、急に……」
写真集を作るなら「パリで、オシャレに!」と話していた吉野だが、衣装にも表現にも大いにこだわった結果、宮崎の素晴らしい景色と吉野の雰囲気がマッチしたオシャレな写真集に仕上がった。
「ファッション写真としても楽しんでいただけるようにと考えました。衣装は全部で15パターン着ています。素材とか、シルエットとかバランスを考えながら決めていったんですが、選んだ時は完璧だと思ったけれど、フィッティングの時になんか違うかなあと思って、もう一度相談したり、。衣装選びって楽しかったですけど……難しかったです」
写真集の出版が決定してから、撮影したい場所を始め、自らさまざまなリサーチをして提案、撮影、完成させた本作。出来栄えをたずねると「200点」だという。
「自分がやりたいと思ったことをやらせていただいていますし、何よりも後悔することがないように作っています! そのために関わってくださったスタッフさんがいろいろ調整をしてくれていますし……この写真集にはいろんな人たちの思いが入っているんです。まずそれで100点。そこから、現場で経験したことや思い出、いろんなことが100点です」