劇団EXILE・青柳翔が活劇スター演じる! 『三十郎大活劇』は「いま上演する意味がある」

 

 劇中では、役者として演技しているシーンを演じたりもすれば、役者としての成功を願う若者として“居る”場面もある。

「お芝居している時と、していない時の差は悩むところです。差が出ないといけないですし、かつ、面白くなきゃいけないというところで、お芝居をしている時というのはトーキー映画の佇まいをすればいいのかなと考えています。していない時というのは、現代人には見えてはいけないけれど、現代の人に共感してもらえるようにしなきゃいけないですから、しゃべり方は考えないといけないと思っています」

 青柳自身が格好良さを感じた活劇のスターをどのように演じてみせるかは見どころのひとつ。準備のために見た『用心棒』や『椿三十郎』を見て、「三船(敏郎)さんの髭を触る仕草とか使えないかな」と企む。

「さまざまな作品を見るなかで、歌舞伎を見ておいたほうがいいなと思いました。当時の活劇のスターたちは、わざと口角を下げてしゃべってみたり、首をカクっとさせたり、見栄をきる感じでこちらを見てきたりするので、歌舞伎を掘り下げることは近道のひとつなのかなと感じました。実際にそれを採用するかどうかは分からないですが(笑)」

 もちろん殺陣のシーンもある。

「キャストのなかに前の現場も一緒だったアクションチームがいて、その方たちとアップがてら毎日稽古をしています。とはいえ、僕はそんなに刀を振るところはないんです。ぶっちゃけ一分もないと思う(笑)。だからといって、手は抜かずにやりたいなと思っています」

 本番に向けてみっちり1カ月をかけてキャストやスタッフと作品を創り上げられることは舞台の醍醐味だ。今回の稽古場は、アイドル、声優、芸人、劇団出身者など、さまざまなキャリアとバックグラウンドを持つメンバーが揃う。この作品では座長になるが、取り立てて何かをしなくてはというプレッシャーはないそうだ。

「気負い過ぎてもと、思うんですよ。これまでも稽古場は経験してきましたが、すごい楽な入り方をして来る人もいますし、その逆の方もいらっしゃる。すごい楽な入り方の人だって、本当に楽に入っているのかと言えば、もしかしたらプレイかもしれないですよね。でもそれが場をリラックスさせたりします。今回の稽古場には、さまざまな方がいらっしゃいます。キャストのみなさんと楽しみながら…、すべて楽しいっていう訳にはいかないですけど(笑)、取り組んでいきたいと思っています。作品と同じように、“LOVE & PEACE”な感じになれるといいなと思います」

 

  開幕まで1カ月を切った。ここから本番まで、きっと本番が始まってからも、2022年の『三十郎大活劇』は磨き上げられていく。

「当時を知っている人たちにはあの時の情熱って良かったよねと思ってもらえるように、その情熱を知らない人たちや当時の日本の映画界のことに詳しくない人には、今の時代にも当てはまるんじゃないかと感じてもらえるように、そして楽しさも感じてもらえるような芝居をしたい」と、意気込む。「ただ、明るい話だと思うので、楽しみながら、意固地にならず、大きい画角でお芝居をしたいと思います」と、シブく笑って付け加えた。

 舞台は、4月2~17日、渋谷区の新国立劇場の中劇場で上演。4月23・24日には大阪のCOOL JAPAN PARK OSAKA WW ホールでも公演がある。

 

(TOKYO HEADLINE・酒井紫野)