外交・安全保障通の長島昭久氏がウクライナ問題が東アジアにもたらす影響を解説〈インタビュー〉
プーチン氏の危機感がロシアにとっては裏目に?
中国からするとロシアも北朝鮮も生かさず殺さずという感じですか?
「北朝鮮なんてつぶれそうだったのに中国が裏で支援して、なんとか国としての体裁を保っていますよね。その間に核とかミサイルなどを作っていて、中国としては“最近手に負えないな”という感じにはなっています」
ではプーチン氏がその状況を冷静に理解して「これ以上やると本当にまずい」となれば、予想より早く終結する可能性も?
「それくらいの冷静な感覚があればよかったんですが。プーチン氏はつい最近までは戦略的に物事を組み立てる指導者であったと思うんですがアメリカやNATOに対する恨みつらみで狂いが生じてしまったように見えます。2000年に彼が国家指導者になってから20年が経つんですが、特に2014年にロシアがクリミアを併合した時に経済制裁を食らったじゃないですか。あれ以来、全く経済が成長しなくなって、地政学的な勢力圏の考えとともに、ここで自分たちの力を見せないと国自体がジリ貧になっていくという危機感もあったんじゃないかと思うんです。でも皮肉なことに今回のことによって、そのジリ貧になる速度を速めてしまったと思います。だから僕らが頑張ってその速度をさらに加速するようにしないといけない。ただその際には僕らも返り血を浴びるところは出てきます。これから物価も上がるし、エネルギー価格が上がることで電気代なども上がるでしょう。そういったことは甘受しないといけないと思います」
今後、一政治家としてこの問題にどう向き合っていこうと思っていますか?
「今回のウクライナ問題は東アジアの将来に直結する、大きな影響を与える問題です。国際秩序が不安定化していく、アメリカの力が相対的に落ちていく――そういった世界の中で、日本が生き残っていくために、あるいはその先の平和な国際社会を作っていくために何をすべきかをしっかり考え、やれることをしっかりやり抜いていくしかない。その中で日本をリーダーシップを発揮できる国にしていくということが、政治家として目指していく方向性です」
(本紙・本吉英人)