色彩と表情で魅せる“タイムリミット”の儚さ 涙なしでは語れない実話をもとにした映画『余命10年』【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
こんにちは、黒田勇樹です。
しばし沈黙していた黒田勇樹ですが、3月18日からSHOWROOMで
「【黒田勇樹】オルタナティブTV」( https://www.showroom-live.com/yuuki_kuroda )をスタートすることになりました。
初回は18日の20時くらいから開始すると思いますので、ご興味のある方はぜひTwitterなんかもチェックしていてください。
どんなことになるのか僕も楽しみです。こちらのコラムともども、よろしくお願いします。
では今週も始めましょう。
小松菜奈さんと坂口健太郎さん主演の映画『余命10年』。
タイトルだけでズルいというか逆に、作る側目線で見ると相当ハードルが上がる作品。
死んじゃう。
もうそれだけで、悲しいのにそれを2時間観させられるんですよ!
「明日、死ぬ」だったら、最後の1日をドラマティックに描ける気がするんですが“10年”という「やれることもありそうだし、治ったりしそうだし、でもタイトルで宣言しちゃってるから、亡くなるんだろうな…」としか、思えないじゃないですか。
“最後の恋”みたいな感じがメインで描かれているんですが、こういうセンチメンタルでメランコリックなラブストーリーを、生理的に受け付けない筆者が、1時間半ぐらい号泣し続けるほどの傑作でした。
ベテランのバイプレーヤーたちの“安定した演技”に囲まれながら、物語の中心にいる若者4人の“ナマ感”が、コントラストを生み出し、中でも注目してほしいのは、小松さんの演技が素晴らしいのはもちろん、坂口さんが「10年」という時間を見事に“表情”で、表現しきっていたこと。
本当に恋をしているような素敵な瞬間を沢山、見せていただきました。
そして、もうひとつ。
美術!!
あんまり語られないですが、セットとか大道具とか言えばわかりますかね? 映画でいうと「背景」にあたる部分の色彩が、ずっと美しい。
ロケ地もうるさくないのにカラフルで、全然本編でピックアップされることのない、画面の端に映る本棚の本の並び、筆立ての色鉛筆、キッチンの調味料、水槽の魚、庭の植木、料理、全てが彩られていて
リアルかどうかというより“素敵な思い出の色”なんですよ!
時々、RADWIMPSの音楽にのせて、この極彩色の中で季節が移り替わるシーンが描かれるんですが、もう、これが涙腺アウト。
桜から始まり、海や花火、紅葉、雪。
ずっと楽しそうな素敵な思い出のシーンなのに「わあああ!季節よ進まないで!時間を経過させないで!死んじゃう!!」と、美しい映像を見ながら号泣する“映画ってこういう体験がしたくて観るよね”たっぷりの作品でした。
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1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。
公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23