池上彰氏『ぼけます』続編「介護はきれいごとばかりではいられないと伝わる」両親の老いを撮った信友直子監督のプロ根性に感嘆
文子さんが亡くなった後、父・良則さんは呉の実家で一人暮らしをしているといい、池上氏が良則さんの知識欲に感嘆すると「父は今も“新聞によって取り上げ方が違う”と新聞を3紙読んでいて、私も小さいころから“偏った見方はするな”と言われてきた。そんな父だから、私が仕事を辞めて実家に戻らせたくなかったのだと思う」と話し「とはいえさすがに101歳になるので、父のプライドを保つ形で少しずつ2人暮らしに移れれば」。
介護離職や、老々介護、延命措置についてなど、介護にまつわるさまさまな課題が浮かび上がる本作。
信友監督は「母の胃ろうを決めたが、本当に良かったのか考えると今も眠れない。でも正解はきっとないんだと思う」と話し「今回の映画は、母の病状が進んだことで必然的に、認知症から延命治療、終活、看取りというテーマになりましたが、私が描きたかったのはその奥にある、人として人生をしまうというのはどんなことなのかということ。父と母の別れに、崇高なものを見た気がして、60年連れ添った夫婦の絆に、襟を正される気持ちになった。この映画を見た方が、生きていることはすてきだと感じ、あたたかい気持ちになってくれれば」と笑顔を見せた。
池上氏も「“良く死ぬ”とはどういうことなのか。良く生きてこそ良く死ぬことができるのかなと、大きなヒントを頂きました」と作品をたたえた。
映画『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』は全国順次公開中。