Well-beingを高めることで誰一人取り残さないSDGsの達成へ〈BEYOND 2020 NEXT FORUM 総合セッション〉
「Well-being」は、SDGsと同じように比較的新しい言葉で、「幸せ」や「健康」、肉体的にも精神的にも満たされた状況であることを意味する。いま、世界中で、個人はもちろん企業など組織として、これを実現しようという大きな動きがある。
平原氏は「コロナが大きなファシリテーターとなって私たちの人生を考えさせてくれるような役割を担った。コロナ禍になって私たちは働き方と生き方が融合していくような体験をしていて、これまではプライベートと仕事は切り離すべきものでしたが、実は一緒だった、つながっていたということに気づかされたと思う」と、分析。
また、海外での生活が長い平原氏は、中学生時代を過ごしたカナダでは中学校で「あなたのWell-beingって何か?」と問われた経験を紹介したり、自分自身のWell-beingが高まることで会社や社会に良い影響を与えられるという思考の人が多いといい、「それが日本に広まりつつある」とした。
そうした中で「Well-beingというのは難しい」というのは高山氏。「まずは、Well-beingという言葉の定義や意味があいまいで、企業活動としてはやりようがない。ここ数年、企業は、どんなSDGsの取り組みをしているかということを聞かれたり、ESGのスコアで評価されるようになってきた。企業として(Well-beingに)取り組むにあたって、何か数値化できないか、言葉の定義をどうにかしてもらえないかなと思う。みんなの解釈が違ってしまうとやりにくい」と現状を報告。
セッションは、パネラーのバックグラウンドもあってか、働き方や働く環境といった視点からの意見交換も多かった。益若も、現在、企業の現場や職場を取り巻く環境を鑑み、働き方改革によって思っているように働けない状況になっていたり、パワハラやセクハラといったハラスメントを恐れるあまりに職場で天気の話しかできなくなっている状況もまたWell-beingを高めようという動きとは異なるのではないかという問題提起もあり、Well-beingもまた多様性であると考えさせられた。
SDGsの達成を目指していくことで、Well-beingも高まるという捉え方もある。
藤井氏は、「Well-beingというと、“個人の幸せ”が一番に来ると捉えられていますが、“個人の幸せ”があるためには、(個人が属している)社会や地域の幸せ、その先にある地球環境が適正な状態であることが非常に重要」と語り、デロイト トーマツ グループでの考え方をシェアしていた。
「BEYOND 2020 NEXT FORUM」では、2020年以降の日本の活性化を目的に、ダイバーシティ、イノベーション、スタートアップ、エンターテインメントなどのテーマのもとで、各界、各世代で活躍中の有識者で構成されるメンバーが中心となって、討論を重ねている。2019年3月にスタート。その後、内閣府beyond2020プログラム認証事業となり、外務省の後援も加わり2020年9月から、SDGsと次世代人材育成をテーマとする「SDGsピースコミュニケーション」を新たな主題として掲げて、さまざまなフォーラムを実施している。
セッションの様子は28日からYouTubeで無料配信されている。