子どもたちの対話で社会課題は解決へ向かう「こども未来国連会議」の意義〈BEYOND 2020 NEXT FORUM 総合セッション〉
2020年以降の日本の活性化をテーマに世代や業界を越えて有識者らが集う「BEYOND 2020 NEXT FORUM」が3月22日、都内で「総合セッション-SDGsピースコミュニケーション-」を開催した。
セッションでは、同フォーラムの活動の主題となっている「SDGsピースコミュニケーション」の中から、「SDGs学習カリキュラム」、「SDGsとWell-being」、「SDGsとこども未来国連」のそれぞれをトピックに、3つのセッションが行われた。
第三部のテーマは「SDGsとこども未来国連(以下、こども未来国連会議)」。自民党政調会長特別補佐の中山泰秀氏、経済産業省商務サービスグループ・参事官兼博覧会推進室長の滝澤豪氏、ジャーナリストの堀潤氏、「BEYOND 2020 NEXT FORUM」代表幹事の一木広治氏が登壇し、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 Deloitte Digital スペシャリストシニアで産学連携プロジェクトなどを手がける若林理紗氏がファシリテーターを務めて進行した。
こども未来国連会議は、世界の子どもたちが集まり、平和で豊かな世界について一緒に表現しあったり語り合う「ピースコミュニケーション」の場だ。「BEYOND 2020 NEXT FORUM」などによって、2021年3月に第1回が開催され、今月26日には第2回も行われた。
一木氏は、こども未来国連会議について、次世代を担う子どもたちが望んでいる社会を実現するためにも、世界の子どもたちが日本に集まり、意見を交換をするなどしてコミュニケーションを取ることで社会問題も解決できるのではないか、また大人もそうした場を作ることで子どもたちをアシストできるのではないかというところから始まっていると説明。
スタート時から関わる中山氏は、昨年の会議について「たくさんの子どもたちが集まってくれてSDGsのトピックを選んでグループワークをし、最後には大人顔負けの提言を出してもらいました」と振り返る。
堀氏は「今年のこども未来国連会議が果たす役割はとても大きい」と言う。「大人たちが構成している国連は、いま起きている現象に対して成すすべがない。国際社会が協調してアクションが取れていない。対話が必要な国連で対話ができる状況になっていない」ためだ。堀氏は初回の提言で子どもたちが「まっすぐで、なぜ大人たちはこれをしないのか、これをしよう、こうなろうと具体的なビジョンとして示してくれた」ことを踏まえ、こうした時にコミュニケーションを図れるのは子どもたちだとし、「大人の社会を乗り越えて、お互いに話しができる環境が、こども未来国連会議なら実現できるという期待があります。私たち大人は彼ら彼女らが全力で話しができる場を作る手伝いをしなくちゃいけない」と語る。
中山氏も「いまプーチンさんが、自分がすることで多くの人が犠牲になることを分かっているのにやっているというのは想像力の欠如。大人になって行使すべき想像力、大人になっても使っちゃいけない想像力、この2つのイマジネーションのテクニックをミスリードしているのが大人なんです。子どもたちが持っている条件なしの想像力、大人の落ち着いた想像力、これらを合わせもって、子どもたちに向き合うことの大切さが、こども未来国連会議にある」と期待を寄せた。
こども未来国連会議は毎年開催される予定で、2025年には、SDGs万博とされる大阪・関西万博(日本国際博覧会)のなかでも開催しようと準備を進めているという。
瀧澤氏は、今後の万博のスケジュールについて、小橋賢児氏が総合プロデューサーに就任し、これから催事の基本計画を作り、今年の後半もしくは来年からヒアリングをしながら決めていくと報告すると、「多くの方々に万博を自分事としてコミットしていただけるように、いろいろなことをやっていきたいと思うので注目してほしい」とアピール。また大阪・関西万博は「いろんな方々が万博の場に向けてアクションを起こすのが新しいところ」だとし、これまでのように会場にきて学ぶのではなく、「一緒に創る万博」だとすると、一木氏は「瀧澤さんがおっしゃるようにキーワードは参加。体験するのではなくて参加するなんです」と同意した。
中山氏も「こども未来国連会議、万博を含めて、こどもというファクターは重要。これから未来を作ってくれるこどもたちのために私たちがいる。こども未来国連会議も、万博も安心できる世界のなかで実施できる一助になれば」と、話していた。
こども未来国連会議は、万博の共創チャレンジに登録されていることから、若宮健嗣万博担当大臣もビデオでメッセージを寄せた。「どのような未来を創っていくか、このことを考えるうえでは、未来を担う子どもたちへのメッセージは非常に重要」とし、「2025年の大阪・関西万博には日本中あるいは世界中からたくさんの子どもたちがいらっしゃると思います。こども未来国連会議の取り組みとも連携しながら、万博を訪れた子どもたちが自らの未来を考え、一歩前に踏み出すきっかけとなるような大阪・関西万博にできればと思っています」と伝えた。
セッションには、こども未来国連会議のサポーターで、2018年からは国連WFPのサポーターとしても活動しているEXILE ÜSAもビデオでメッセージを寄せ、ピースコミュニケーションの活動を展開していくと話した。
3つのセッションを終え、一木氏は、「これからも2020年以降の日本を元気にする活動を進化させていこうと思っています。今日のフォーラムもそのひとつですが、ぜひ参加していただき、アイデアを出していただいて、一緒に活動していければと思います」と呼びかけた。
「BEYOND 2020 NEXT FORUM」では、2020年以降の日本の活性化を目的に、ダイバーシティ、イノベーション、スタートアップ、エンターテインメントなどのテーマのもとで、各界、各世代で活躍中の有識者で構成されるメンバーが中心となって、討論を重ねている。2019年3月にスタート。その後、内閣府beyond2020プログラム認証事業となり、外務省の後援事業として2020年9月から、SDGsと次世代人材育成をテーマとする「SDGsピースコミュニケーション」を新たな主題として掲げて、さまざまなフォーラムを実施している。
セッションの様子は現在、YouTubeで無料配信されている。