じわじわくる猫絵本『ねこいる!』が話題!たなかひかるの頭の中をババーンとのぞいてみた
猫がいるのか、いないのか。ただそれだけを追求した絵本『ねこいる!』(ポプラ社)が売れている。作者はたなかひかる名義で出版した初の絵本『ぱんつさん』で第25回日本絵本賞を受賞し、ギャグ漫画「サラリーマン山崎シゲル」でも知られるお笑い芸人の田中光さん。今回は絵本作家・たなかさんの頭の中には何がいるのか、ババーンとお話を聞かせてもらった。
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絵本を描くきっかけはローリング・ストーンズのライブ
もともとお笑い芸人、漫画家として活動していたたなかさん。絵本を描くことになったきっかけは?
「実は今の担当編集の親戚の方と芸人としてつながりがあって、2014年にローリング・ストーンズの東京ドーム公演でご一緒して、ライブ終わりに3人で飲みに行ったんです。そこで“普段はギャグ漫画を描いてるんですよ”と自己紹介した後、スマホで執筆中の漫画を見てもらいました。その後“絵本に興味ありますか?”と言われ、“小さい頃から絵本が好きで、いつか描いてみたいなと思ってました”と伝えたところ“じゃあ作りましょう”と。そこが絵本作家としてのスタートですね」
お笑いと漫画、絵本を作る時にそれぞれ違いってあるのでしょうか。
「“何か面白いものができないかな”と考えて、いろんな発想が浮かんだ時に“これは漫才でやったほうが面白いな”“これは漫画にしたほうがええな”という中に“これはフリップ芸とか絵本に合いそうやな”というものがあります。本来、絵本はそういうものじゃないかもしれないんですけど、僕の中ではページをめくることで状況が変わったり、タメを作ってめくることで驚かせたりするフリップ芸に近いかもしれないですね」
初めて出版した絵本『ぱんつさん』で第25回日本絵本賞を受賞しました。受賞して変わったことはありますか?
「その頃すでに2作目の『ねこいる!』を制作していたのですが、賞を取ったことが僕の中で悪い方向に向かって小洒落たものを描こうとしてしまって(苦笑)。今思うと恥ずかしいんですけど、ちょっとカッコつけてしまったんですよね。“いや、待てよ。余計なことは考えんでええぞ”と思って描き直させてもらった結果、バカバカしさだけを全面に出した形で仕上がってよかったです」