花の廃棄や高騰する石油燃料…課題抱える花き業界大手・JFTD花キューピットが新規事業案コンテストを学生を対象に行った理由

𠮷川登代表取締役

―学生による未知の事業案を、長期間にわたりサポートしブラッシュアップしていくという、企業側にも労力が必要なプロジェクトを行った背景とは。

「花は、昔から常に私たちの身の回りにあるものでした。人々の暮らしから花がなくなることはないと思いますが、ビジネスとしては、そこに安穏としていてはいけないと思っています。近年、花を楽しめる社会は平和な社会なのだと、改めて感じています。その意味でも、花を楽しめるサステナブルな社会づくりという視点で新たなビジネスを考えていく必要があると思っています。

 しかし、現実的に企業のスタッフは日々の業務に追われがちで、まったく未知の新しい事業案を探す作業が、なかなか難しかったりします。今回のプロジェクトでは、我々に無かった視点にいくつも出会うことが出来て僕らも大変よい勉強になりました。また、学生さんたちとこうして接点を持つことで新しい世代の意識に触れることもできますし、今回のコンテストに参加してくれた学生たちが、花キューピットの事業内容やマーケットなどを調べたうえで新規事業アイデアの創出に取り組んでくれたように、我々の事業について知ってくれる若い世代を少しでも増やしていくことができる。

 今回のビジネスアイデアはどちらも実際に事業展開の可能性を持った、すばらしいものになったと思います。このアイデアをさらに発展させていけるか、われわれも考えていきたいですし、今後もこのようなプロジェクトに積極的に取り組んでいきたいと思っています」

 2チームとディスカッションを重ねた花キューピットの担当者も「2チームとも、課題を指摘すると次回までにきちんと答えを用意してくれ、われわれも毎回、彼らの成長を感じていました。途中、予想外の方向転換などもありましたが、それも彼らが研究者だけではなく、事業者としての視点を持つようになったため。結果的に、このまま事業化を実現できるのではと思えるプランとなった」と語った。

 学生の起業意識が高まる今、今回のプロジェクトは、アクセラレータ、インキュベーターの一歩手前のチャレンジとして、学生や若い研究者に事業者の視点を与え、企業側にも新たな刺激や視点をもたらす有意義なものとして、今後の広がりに注目したい試みとなった。

 プロジェクトの様子をまとめた動画を公式ページにて公開中。
【プロジェクト映像】https://www.hanacupid.or.jp/news/sdgs/1520/

 

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