牛のエサにまでこだわる完全会員制“インナービューティ”肉割烹が麻布十番にオープン

「おまかせコース 極み」より「輝く2種の金しゃり巻き -黒毛和牛と車海老-」(撮影・堀田真央人)

「人も牛も“食べたもの”でできている」

 魚の水銀問題や、寿司の高糖質に着目した「麻布 黒しゃり」に続く飲食店2店目となる、ここ「麻布 肉しゃり」でも、先述の「インナービューティ鬼十則」に則った食材のみを使用。

 その中でも目玉となるのが、抗生物質やホルモン剤を使わずに育てられた黒毛和牛“都萬牛”だ。牛の健康を第一に考えて育てられた都萬牛は、色味と風味が濃い赤身肉が特徴。健康的なエサと環境で、33カ月から50カ月の間ゆっくりと肥育され、低脂肪ながらうまみのある牛肉となっている。

「ここ数年かけて、北は北海道、南は石垣島まで、全国各地の肥育ファームをめぐり、さまざまな生産者さんとお会いして多くのことを学びました。なるべくコストをかけずに大量に早く出荷するという、経済効率を第一にした生産の形では抗生物質やホルモン剤が常用されがちであること。逆に、牛を良いエサとストレスフリーな環境で育てることで免疫力を高め、抗生物質の投与を行わずに肥育できることを知りました。ヘルシーな牛肉を食べたいなら、その牛がどんな環境で、何を食べて育っているかから考えなければいけないのではないか…そう考える中、都萬牛を育てる生産者の矢野拓也さんと出会い大きな感銘を受けたんです」

 プレオープン時に来店した人の中には肉を苦手とする人もいたという。「抗生物質やホルモン剤不使用ということで試しに…と召し上がっていただいたところ、すごくおいしいと絶賛されまして。普段お肉を食べない方は、ケミカルなもので育った肉の味やにおいに敏感になるようですね。このお肉はそういう臭みがまったくない、と」

 こだわるのは食材だけではない。調味料のマヨネーズも、動物性原料不使用のもの、トランス脂肪酸フリーのものを自社開発し、料理に使っている。

「“健康”と“おいしさ”を最高のクオリティーで両立させるのは簡単ではありませんでした。ですが、都萬牛の生産者さん然り、食材探しのなかで、われわれの価値観に共鳴してくれる生産者さんたちと出会うことができた。同じように共感してくれるお客様に、安心して楽しめるおいしい料理を通して“インナービューティ”を体感していただきたい。牛も人も“食べたもの”でできているんです」

(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)

 

「春のご挨拶コース」より「都萬牛の贅沢メンチカツ-グルテンフリーサンド-」

 

都萬牛

都萬牛の生産者・矢野氏(左)と佐々木会長