小栗旬「涙も枯れていく」大河ドラマ『鎌倉殿の13人』シビアなシーン連続で「結構しんどい」

 

 大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が苦しすぎて、目が離せない。伊豆半島の真ん中で温かい家族に囲まれて素直に育ち、蔵の米を数える日々に幸せを感じるような青年・北条義時だったが、源頼朝に出会ったことで、人生が大きく変化。争い、人を陥れ、粛清に関わり……、殺伐とした環境のなかで、悩み、苦しんでいる。

 小栗は、先日行われた取材会で「正直なこと言ったら結構しんどいですよ、最近は」と心情を吐露。「明るく楽しい北条一家みたいなところが、だんだん無くなってきた。義時を演じていると、どのシーンであっても『次、どうする? 次、どうする?』みたいにものすごく考え事をしていなければいけなくて、最初のころはそれが楽しかったし、そうすることで成長していく自分を愛せていた時期もあったと思うんですが、だんだんそれが誰かをはめなければいけない、誰かを陥れなければいけないっていう選択肢になってきて、しんどくなってきています。ありがたいことに現場では結構みんな楽しく撮影しているので、そこまでドーンと落ちるみたいなことはなくやれてるとは思っています」
 
 第15回、第16回、そして第17回と辛すぎる別ればかりだった。

 放送前から小栗を始めとした出演者が「最高ですね……」とかみしめるように語っていた第15回「足固めの儀式」(4月17日放送)では、上総広常(佐藤浩市)が謀反の濡れ衣を着せられて、家人たちの目の前で粛清された。上総介(上総広常)の最期は目に焼き付いた。

「あの日の現場は、撮影をしてきた中での数本の指に入るぐらいピリッとしていたムードではあったと思います。現場では、自分も義時としてお芝居をしているので、目の前で浩市さんの芝居を見て、なんかすごい!っていう感覚はなかったですが、出来上がったものを見た時に、なるほど、と。みんなこういう状況だったんだと感じました。自分としては、最後にこちらを向いて少し笑顔を残す上総介という人は一体どういうメッセージを自分に送ったのだろうか?ということは、すごく悩みながら進んできました」

 画面の中でもたくさんの涙があふれた。

「20話ぐらいまでは、その(涙があふれそうな)感じになった時にはそのまま出してやってきています。ただ、この先いろんなことが起きていく中で、だんだん義時の中で涙も枯れていくっていうか、涙なんか流してる場合じゃないっていう状況にはなっていきます」

 

 8日放送の第18 回「壇ノ浦で舞った男」では、壇ノ浦の戦いが描かれる。菅田将暉が演じる源義経が活躍する。

 菅田とは共演も多い小栗。出演シーンを重ねるほどに、言いようのない怖さを増す義経、菅田をどのように見ているのか。

「これは大河ドラマでないとありえない設定だと思うんですけど、菅田のほうが僕より年上っていうのがでかい(笑)。18話に至るまで、義経にとって義時は眼中にないんです。何とかしろと言われる瞬間はあったりはするんですけど、義経にとって義時は頼朝の家人であって、自分にとってはそんなに大きな存在ではないんです。今まで見てきた、自分の中での菅田将暉とはまた違う存在感のアプローチだなっていうのは現場で感じながら見ていました。(菅田は)底の知れない人という感じ。現場で悩んでるような素振りを見せる人ではないので、いつどのタイミングでお芝居のことを考えてるのかなと思います」

 予告編でチラリと流れた義経の「この先、私は誰と戦えばよいのか」のセリフ。義経のこれからの戦いを思うと胸がさらに締め付けられる。

『鎌倉殿の13人』は、 毎週日曜、NHK総合で20時から、BSプレミアム・BS4Kで18時から放送中。再放送(土曜13時5分~)もある。