5月30日に初防衛戦のWBO女子Sフライ級王者・吉田実代「“女子ボクシングも面白いな”と思われるような試合をする。生で見てほしい」
WBO女子世界スーパーフライ級(-52.1kg)王者・吉田実代(三迫)が5月30日、東京・後楽園ホールで小沢瑶生(フュチュール)を相手に初防衛戦を行う。吉田は“戦うシングルマザー”の異名を持ち、なおかつもともとは総合格闘技やキックボクサーとしても活躍するなど波瀾万丈の人生を歩む異色のファイターだ。吉田は一昨年12月に奥田朋子に負傷判定で敗れWBO女子世界スーパーフライ級王座から陥落。昨年6月のダイレクトリマッチで判定勝ちを収め王座奪還。今回はそれ以来の約1年ぶりの試合となる。試合を控えた吉田に話を聞いた。
“やっぱり吉田は強かったな”と思わせるような勝ち方をしないといけない
2019年までは年間3~4試合行っていましたが2020年からは試合数が年間1試合ずつ。これはやはりコロナの影響?
「そうですね、コロナの影響は大きいです。あと、2020年にジムを移籍しまして、その関係もありました」
試合勘は大丈夫ですか?
「ちょっと心配はしていたんですが、椎野さんにずっと教えてもらっていてすごくいい練習ができているので大丈夫じゃないかと思っています。もう1年くらい経つのかな? かなり伸びているという手応えがあるので、逆に楽しみというか。試合でダメになるようなことはなさそうですよね?」
ここで椎野大輝トレーナーが「でもスパーは波がある。一昨日のスパーはすごく良かったけど、昨日は相手が弱いのにダメだった。そこの波をコントロールして試合当日にいい時のスパーのような動きが出せれば」とアドバイス。
波はあるタイプ?
「昔から波はあります。意外とデリケートです(笑)。女子なんで。でも前回ほどではないです」
前戦はリマッチということでナーバスになっていた?
「はい。その部分は大きかったと思います。1回負けているし、負けたのも何年かぶりなので」
普段はパーソナルトレーナーという顔も持つ。
「でも最近はパーソナルトレーナーの頻度を落としているんです。それはコロナということもあるんですが、練習にもっと打ち込みたいということと、子供が小学校に上がったので、なかなか時間が取れなくなりまして」
小学校に入ると手がかからなくなるのではなく?
「宿題を見たりしないといけないし、PTAとかもあるんです。大人になってくると自分の意見を持つようになって、“は~い”って何でも聞くだけの子供ではなくなってくるので。小学校の1年生になったばかりなんですが、反抗期は一度あって、もう少ししたらまた来るんじゃないかと思っています。“楽になるよ”と言われたんですが、全然楽にならないです(笑)」
頻度は減らしてもパーソナルトレーナーという仕事柄、コンディションは常にいい?
「練習の質も上げているのでコンディションはいいんですが、ちょっとオーバーワークになるところがあるので、休みは入れないといけないとは思っています。気持ちは乗っているんですけど、体が乗ってないことに気づいてなくて。私、ジムでのあだ名が“オジサン”なんです(笑)。もう34歳なんで。20歳に総合格闘技でデビューしているので、まあまあベテランの域に達しています」
先日もかつて一緒に練習したこともある山本美憂、浜崎朱加といったそうそうたる面々との交友の様子がSNSに上がっていました。他のジャンルの女子格闘家との交友範囲が広いですね。
「そうですね。お局会って言われています(笑)」
今回の相手についてはどう見ています?
「小沢選手はもともと私とやりたかったようで、以前には“京都に来て試合をしないか”というオファーもありました。階級も同じくらいだったのでもちろん知っていました。でも自分が先にチャンピオンになって、小沢選手も実績がある選手だったんですが、正直なところ自分から“絶対にやりたい”というところまではいっていませんでした。意識はしているが、そこまでというわけではない、みたいな。いつかやるかもしれないなみたいな気持ちはあったんですけど。選手としてはトータル的にうまい選手という印象はあります」
どんな試合になる?
「小沢選手は産後からの復帰なんですが、産後だから力が落ちているとは思っていません。練習もいい練習ができているみたいですし。自分もそうだったんですが、子供を産んでまた競技に復帰するというのは相当の覚悟がないとできないと思っています。それは自分も周りも。なので、メンタルはめちゃくちゃ強くなっていると思うんです。それに相手が約3年ぶりの試合ということで、変な話、私が接戦で勝ったり、ドローで防衛となれば相手の株が上がるだけなので“やっぱり吉田は強かったな”と思わせるような勝ち方をしないといけない。それ以外だったら私の負けだと思うので、はっきりと明確に差をつけて勝ちたいと思っています」