平良達郎22歳 UFCデビュー戦で快勝も「20歳過ぎてから思っているほど“時間がない”という気持ちが大きいんです」
岡田の言葉に「そうだ。俺、5分3Rやりたかったんだ」
久しぶりの3Rはいかがでしたか?
「僕は1回、清水(清隆)戦で3Rをフルで戦ったことがあったのですが、その試合も全然疲れを感じないものでしたし、直近が1Rでトントン終わっていたこともあって、試合勘というのでしょうか、そういう経験値としてあんまり得られていないというのがあって。だからこそ、攻めに行った時の3Rを経験してみたいという思いを岡田さんや松根さんに話していて。松根さんからは“オマエ、それは贅沢な話だよ”と返されたのは覚えていますし、それは分かっているんですけど……。ただ5分3Rのキツい試合を1回はしておかないと、いざそうなった時に“きっと、すごく疲れちゃったりするんじゃないか”というような不安を抱いていることを正直に伝えていました。今回2Rに結構チャンスがあって、何回か極めに行って、ちょっと腕も張っていたんです。それを3Rに向かうインターバルの時に“こういう感じか”と感じられましたし、岡田さんと松根さんは多分1R、2Rでフィニッシュすると思ってくれていたこともあって、松根さんは“やり切るぞ”と言ってくれていましたし、岡田さんからは“達郎、お前がやりたかった3Rギリギリの戦いだろ!”と。“こういう3Rやりたかったんだろ!”って言われて、“そうだ。俺、5分3Rやりたかったんだ”って急に思い出して(笑)。そこから“楽しい! 楽しい!”ってなってきちゃって。3Rこの状態で戦い抜くのは自分がやりたかったことで、もちろんフィニッシュも行こうと思ってましたし、振り返ってみたら本当に……。セコンドとのこういういろいろな会話って、いつも覚えていないんですよ、“何話したっけな?”ってなっちゃって。でも今回は振り返ってみたら全部“楽しかったな”“いい経験できたな”って思いました」
岡田さんと松根さんの存在はやはり大きいもの?
「岡田さんも松根さんも、いつも親身になってくれて。本当にただただありがたいと思っています。試合で勝つことはもちろん、これからどうやって恩を返せるだろうかってことをいつも思っています」
まだ次の試合がいつどこで誰と、というのは分かりませんが、同階級では7月31日(日本時間)の「UFC277」では、1位のブランドン・モレノ選手と2位のカイ・カラ=フランス選手が暫定王者のベルトをかけて対戦します。こういったトップ戦線を、これまでとは違う目で見ることになりそうですか?
「意識はもちろんしています。ちなみにUFC PI(Performance Institute)で結構モレノさんにはお会いしたんですけど、見た目通りの優しい方でした。だから“モレノさん、勝ってほしいな”って思いますね。カラ=フランスに関しては、前戦のアスカー・アスカロフ戦を見て、僕は判定でアスカロフが勝ったんじゃないかと思っていました。でも、次の試合でどちらが勝つかは読めないので、楽しみにしています」
ここで対決するモレノとカラ=フランス、さらに4位にはパントージャの名前が。扇久保博正選手が出ていたThe Ultimate Fighter 24出身選手がトップ5に名を連ねています。
「扇久保さんがあの環境で1週間おきに減量して、優勝はできなかったけれども、それでも準優勝という成績を残したということは、本当にすごいです。自分自身、ラスベガスで練習をして、今回は試合が延期になったことで2週間後にまた減量をするという経験をしたこともあって、改めて本当にキツいことをやられていたんだな、と実感しました。しかもお一人で、です。本当に心からリスペクトをしているので、自分が、おいそれと扇久保さんの夢の先を担うかのようなことは決して言えません。それでもー…、アマチュアの頃、ジムで松根さんが“この人が扇久保っていうんだよ”と教えてくれて一緒に応援するようになって、“こういう日本人がいるんだ”って感じたことも思うと、あのTUFシリーズに出ていた選手が、この階級の上位にいることで、やっぱり“戦ってみたいな!”という気持ちにはなりますね」