“映画”に進化する企業の映像広告 映画監督・藤井道人「一本背負いされた気分」ゆりやんも「見た後、買ってしまいました」
企業などのブランディングを目的としたショートフィルムの祭典『BRANDED SHORTS 2022』が14日、都内にて開催。審査員を務めたタイタンの太田光代社⻑や映画監督の藤井道人、お笑い芸人ゆりやんレトリィバァらが登壇し、CMとは異なる“ブランデッドムービー”の魅力を語り合った。
現在、開催中の国際短編祭『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)2022』の一部門として2016年からスタート。ブランデッドムービー(企業や広告会社がブランディングを目的に制作したショートフィルム)を表彰する。
今年は、世界中から集まった687作品(インターナショナル部門 564作品、ナショナル部門 123作品)から、インターナショナル部門15作品、ナショナル部門9作品の計24作品がノミネート。BRANDED SHORTS of the Year インターナショナル部門に『A LOCKDOWN LOVE STORY』(クライアント・HEINEKEN 監督・柳沢翔)が、ナショナル部門に『AIM』(クライアント・NETGEAR Japan 監督・GAZEBO)が輝いた。
第二部の審査員によるトークでは、審査員を務めた木村健太郎(博報堂 執行役員/博報堂ケトル エグゼクティブ クリエイティブディレクター)、太田光代(株式会社タイタン 代表取締役社長)、長田麻衣(株式会社SHIBUYA109エンタテイメント マーケティング戦略事業部ソリューション 戦略部リーダー/SHIBUYA109 lab.所長)、たちばな やすひと(ドラマプロデューサー)、藤井道人(映画監督・脚本)、ゆりやんレトリィバァ(コメディアン)が登壇。
審査委員長を務めた木村氏は「最初はインターナショナル、ナショナルの両部門とも見事に意見が分かれたが、これは多様な見せ方があるということで、とてもいいこと」と振り返った。
インターナショナル部門BRANDED SHORTS of the Year受賞作『A LOCKDOWN LOVE STORY』について、ゆりやんはネタを交えつつ「最後のオチで自然と“オーマイガー!”と口から出てしまうくらい面白かった」、太田氏も「ポップな描き方をしていて、こういう状況で、最後に前を向こうという明るいメッセージが良かった」、藤井監督は「映画監督として悔しくなるかという視点で審査しました」と映画的な魅力も評価。
ナショナル部門受賞の『AIM』は、ゲームに明け暮れる引きこもりの娘と案じる父を描いた、約21分の長尺作品。木村氏が「“ブランデッド”というより“プレゼンテッド”なのではという議論もあったが、Wi-Fiルーターのメーカーが、プロゲーマーが生きやすい世界をプレゼンする作品となっている」と評価すると、長田氏も「製品や企業ブランドのメッセージを伝えるというより、関係する分野の理想を描くことで、いい企業だなと感じられる作品」。1人、最終票を投じなかったというたちばな氏も「脚本も構成も見事でした」、藤井監督も「思いっきり一本背負いされた気持ち。映画としてのインパクトもずば抜けていて嫉妬しました」と感嘆。約21分と、他作品より長尺の作品である点についても意見が分かれたといい、ゆりやんは「私も、3分の持ち時間で4分のネタをやってズルいと言われたことがあります」と会場を笑わせた。