あの黒木瞳さんが監督!女性を見つめる視線に圧倒される短編映画『線香花火』【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 ご存知の方も多いかと思いますが、先日、インスタグラムで妻、長男との3ショットを公開したところ、それが記事になりまして、思わぬ反響をいただいております。

 何がきっかけでもいいので、これを機会に僕が作った作品を見てくださればうれしいです。6月28日から『黒田薔薇少女地獄』という舞台をやります。こちらはもうチケットもわずかですが、その後もいろいろありますので、ぜひ。

 では今週も始めましょう。

「オフィシャルコンペティション supported by Sony」ジャパン部門ノミネート 黒木瞳監督作『線香花火』

 今の日本の芸能界で“大女優”と、呼ぶのに相応しい数少ない1人、黒木瞳さん。
 実は2016年ぐらいから映画監督としても活動されていたんですね。

 作品を観たのは今回が初めてだったんですが、すっごい“女性目線”(褒めてる)生々しさも美しさも醜さも、誤解を恐れずに言えば「男には撮れんわ」という空気感。

 妊婦が主人公なんですが、オープニングのバスに乗っているシーンから、主人公のアップ越しに窓に映ったお腹が大きくなっていることがわかる。
 このカットで、もう「やりおるな!」と。「芸能人が適当に撮ったんじゃないの?」と、いう懐疑的な気持ちが吹っ飛びました。

 過去と現在が手紙を媒介に、振り返られていく中で、2人の女性の人生を「線香花火のようだ」と、見せていく作品なのですが、なんつーんでしょう、率直に「黒木瞳に、この感情、わかるの!?」と、驚いてしまいました。

元宝塚のトップで今は大女優。
宝塚なんか絶対お嬢様じゃないと入れないイメージだし、めちゃめちゃ幸せな結婚生活を送られているスーパーウーマンに、「望まない妊娠をした女性」と「地道に暮らして“おばちゃんになった”親友」こんな人たちの気持ち、1ミリたりとわかりそうもないのに、見事に切り取られている。

もちろん映画監督は「経験のない感情」も、撮れて当たり前じゃなきゃいけないのですが、今作の湿度は「うわぁ、黒木さんも人生、色々あったんだな…」と“実感”を叩きこまれるようなエネルギーを感じました。

全編、地元福岡で撮られたっぽいので、撮影やキャスティングに若干「インデペンデント感」を感じますが、それでも「この人の映画がまた観たい」と、思える傑作でした。

スタッフィングやキャスティングは、経験なので、なんか、頑張ってあと10本ぐらい撮ったら“凄い監督にバケそう”と、おこがましいですが思いました。

 SSFFオンライン会場でも上映中なので、是非、ご覧ください!

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