自由民主党「『こども・若者』輝く未来実現会議」座長の加藤勝信前官房長官が語る子供の未来に向けた課題と展望
子供関連政策の司令塔となる「こども家庭庁」を設置するための関連法案が6月15日の参議院本会議で成立し、いよいよ同庁の設置に向けて政治が動き出した。将来の日本に向けて、子供や子育て世帯を社会全体で支えていくことは非常に重要。菅内閣で官房長官を務めた自民党の加藤勝信衆議院議員は「『こども・若者』輝く未来実現会議」座長を務めるなどこども家庭庁創設に向けて尽力しているが、2019年に立ち上げたこども未来国連会議の国会議員サポーターズクラブのリーダーも務める加藤氏に子供の未来に向けた課題と展望を聞いた。(聞き手・一木広治)
こども家庭庁設置のためのこども家庭庁設置法、こども基本法が6月15日の参議院本会議で可決成立しました。
「少子化の流れが止まらない。また、子供を取り巻く虐待をはじめさまざまな状況が厳しさを増している。改めて子供を真ん中に置く形で政策、あるいは行政を進めていく必要を私が官房長官の時に菅総理と相談していました。まず党で議論していただいて、それらを踏まえ、政府からはこども家庭庁法案、党では、こども家庭庁側にある政策、それ以外にも子供関連というのはいろいろありますから、それらの子供に関する政策を進めるにあたっての基本的な考え方を整理した『こども基本法案』を出させていただきました。
これを自民党と公明党で提出し、立憲民主党、国民民主党、維新の会などにも賛成していただいて、15日に閉会した通常国会で審議したうえで可決し成立いたしました。来年の4月1日の施行に向けて体制を整備し、必要な財源を確保しなければいけません。こども政策をより手厚いものにしていかなければならないと思っています」
教育格差是正と質の高い教育を目指すという、この2つの両立の難しさについての考えを聞かせてください。
「等しく教育を受ける権利については、こども基本法案の中にも盛り込ませていただいております。学校の現場では、IT、パソコン、タブレット端末を活用したいわば“GIGAスクール”という形が進められているのですが、端末を配布しただけでは進まないわけです。コロナの中での学校休業に対して、かなり先んじてやっていたところでは、タブレット端末を使って家で授業を受けるといったことがうまく回っていました。他方、まだ端末を配っただけだったところはうまくできずに結果的にペーパーワークで終わってしまったという話も聞きます。
このような、学校ごと、地域ごとの取り組みに伴う差みたいなものもあると思います。また、そういうことを活用する家庭環境などがあるかないかといった差がより出てくる可能性もあるので、そこは注意しながら進めていきたいと思っています。しかし、ICTは一つのツールなので、これを積極的に活用して、皆さんの幅広い関心が引き出されて、そして学習に対する、学びに対する意欲が高まっていくという流れを作り出していく機会にしていかなければいけないと思いますね」