戸田奈津子 トム・クルーズ通訳引退を語る「メールしたらびっくりされた」
公開中の映画『トップガン マーヴェリック』主演トム・クルーズの誕生日イベントが3日、都内にて行われ、トムと親交の厚い映画字幕翻訳家・戸田奈津子や、日本語吹き替え版声優の森川智之、サプライズゲストとしてモデルのUTAが登壇。長年、トムの来日時に通訳を務めてきた戸田がトムの通訳“引退”を当人に告げた思いを語った。
この日、7月3日はトムの60歳の誕生日。しかも戸田も同じ7月3日生まれで、86歳を迎えるということで、戸田はトムから届いたエルメスのスカーフを身に着けて登場。戸田は「毎年この日にトムから花束が届くんですけど、今年はエルメスのスカーフも入っていて」と、ちょうどこの日に着るつもりでいたという黒のワンピースに合わせたかのようなスカーフに「トムは千里眼じゃないかと思う(笑)」と笑顔。カードに記されたメッセージのサイン“TC”について「トムの周りの人間は話をするとき“トム・クルーズ”と言うと聞き耳を立てられるので、暗号めいて“TC”と言っているんです」と明かし、森川も「さすがイーサン・ハント(笑)」。
今年5月に、約4年ぶりの来日を果たしたトムの横に、長年通訳を務めてきた戸田の姿が無かったことも話題に上っていたが、戸田は「(通訳を務めて)30年といったら長い。トムはやることすべてに200%出す人。もし、年もあってパッと通訳できず100%に少しでも欠けたら、トムに申し訳ないと思って決意して、トムにメールしたらかなりビックリされましたけど。状況を話したら、分かった、と。そういうことで今回、降りることにいたしました」と自ら勇退を決めたことを明かした。
森川や、司会の映画パーソナリティー伊藤さとりから、トムがいかに戸田を尊重していたかというエピソードが語られると、戸田は「なんであんなに私に優しくしてくださるのか分からない(笑)。特別なことは何もしてない。トムは良い人だから誰だって何かしてあげたいという気にさせるでしょ。私もその一人というだけなんです」とはにかんだ。
さらに戸田は、日本公開から1カ月を前に、興行収入70億円を突破するという記録的なヒットを喜び「コロナで何度も延期になって、ネットで配信しろってすごい圧力があったわけ。でもトムはこの作品は映画館じゃないとだめだと頑固に戦ってね。結果的に世界的にこんなに大ヒットして。トムが映画館を救ったと言っていいと思う」とトムの情熱をたたえた。