上白石萌音、東宝の大先輩・司葉子から「きっと皆さんから大事に育ててもらえる」
大阪の新日本放送で秘書として働いていたところ、雑誌掲載を機にスカウトされた司は「何も知らなかったので、真綿に包んだような感じでした。トイレのドアを開けるのも、蛇口を閉めるのも監督がついていました」。
一方の上白石も、2011年に東宝シンデレラオーディションにて審査員特別賞を受賞したときの感激を「私は選ばれたとき12歳だったので、12歳にして人生が変わってしまったというのを感じました」と振り返り「東宝に入ってからは根気強く育てていただいた。じっくりコトコト煮込むような会社だと思います(笑)」。
そんな上白石へのアドバイスを求められた司は「私は何も知らなかったのでスタッフがいろんなことを教えてくれたんです。“葉子ちゃん、外に出ていくときはいつも一張羅を着ていなさいよ、撮影所の中はボロボロでもいいから”と言われたことは今でも心得ております。今日は“二張羅”くらいですけどね(笑)」。
それを聞き「すぐお洋服買います。今日、買います(笑)」と言う上白石に司は「萌音さんは皆さんがこれから育てようという女優さん。きっと大事に育ててもらえますよ」と太鼓判を押していた。
司葉子は1954年『君死に給うことなかれ』で銀幕デビュー。以来、豊田四郎、成瀬巳喜男、小津安二郎、黒澤明、市川崑ら巨匠作品に数多く出演。
上白石萌音は2011年に東宝シンデレラオーディションにて審査員特別賞を受賞。同年、NHK大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』最終回でドラマデビュー。以来、映像、舞台と幅広く活躍。記録的大ヒット作『君の名は。』(2016年・新海誠監督)ではヒロイン・三葉の声を務めた。
東宝創立90周年記念「東宝の90年 モダンと革新の映画史(1)」は7月31日まで国立映画アーカイブにて開催中。