『69号室の住人』初のライブイベント開催 グランジ遠山と楽しむ「オタク目線すぎない」アーティストとのトーク

 トリを務めた青山テルマは『マダバカ』『ONIGIRI』などの楽曲で会場の雰囲気を一気に変える。かと思えばその後、曲『何度も』や『そばにいるね』も披露し、表情の異なるライブパフォーマンスを見せた。

 テルマのトークパートは、『69号室の住人』ならではの自由さが最も生きた瞬間でもあった。テルマの旧友・AIとの交友関係の話から楽曲の大きな方向転換を掘り下げていくうちに、話はテルマのアーティスト人生の話へ。今年デビュー15周年を迎え、音楽に対しての思い、11月4日に自身初となる日本武道館公演についての意気込みも語った。生でリアルな会話が聞けるのはレアすぎるシチュエーションだ。トーク中には、会場から募集した質問案をくじ引きで引いて、テルマがその場で答えるというコーナーも。「ここだから言うけど」というアグレッシブなエピソードトークも飛び出した。

 

魅力は、どこに着地するか分からない自由さ

 ライブ後、MCを務める遠山に話を聞いた。遠山は「生トークも含めたイベントは番組内では初めてのことで、不安も強かった。でも終わってみると、ゲストの皆さんも楽しかったと言ってくれていて、安心しています」と話した。

 遠山は、普段の放送でも自由にアーティストとトークしており、台本にないようなトークを話の流れで振ることもあるという。オタク目線すぎない、人間性を掘り下げるような質問やエピソードトークが飛び出すこともあり、そこが『69号室の住人』の見どころでもある。

「本当に、自由にさせていただいていて。僕もアーティストの皆さんのいちファンとして、気になることをただ聞いちゃっているだけなんですけど……そういう意味では、今日も変な緊張感もなく話せたなと。僕、音楽の達人とかじゃありませんからね。アーティストの皆さんへの、シンプルな興味をぶつけさせてもらってます。

 でも意外と、ゲストアーティストさんも乗っかって、曲作りの裏話だったりとかプライベートな話にも、すごくフランクに答えてくれる。その自由さが、『69号室の住人』の魅力なんですよね。お気に入りの曲なんかも、知る人ぞ知る楽曲を挙げてくれるゲストさんもいて、編集の人がきちんと、そこにMVを添えてくれる。僕やゲストの方の自由な感想みたいなものが、そのまま番組に反映されているんですよね。見る人にとっても、僕にとっても敷居が高すぎない、そんなアットホームな番組なんです」

 いい意味で視聴者やファンと同じような目線でトークを先導する遠山が作り出す空気感が、番組にアットホームさを生んでいるのかもしれない。

「でも今日一番思い出したくないのは、フレンズさんのライブの時に僕が変なツノをかぶって飛び出しちゃった瞬間。ライブの直前に、ボーカルのえみそんが急に振り付けまで教えてくれて、ダンスまで踊っちゃったけど……思ったよりツノが目立たなかったのか『あいつは一体なんでツノを被っているんだ』という目線が痛かった。今日イチ滑ってましたね、あれは」

 どこに着地するか分からない自由なトークと、自由な選曲のライブ。アーティストたちのソロライブでも、大きなフェスイベントでも見れない姿が、そこにはあったと思う。そして、インタビューの最後まで、ゲストアーティストへの愛とリスペクトが止まらない遠山の存在。改めて番組の存在意義を認識すると同時に、ファン目線のMCに対するありがたみを感じた。

 ライブは2日間に渡って開催され、翌2日には加藤ミリヤをはじめ、多ジャンルのアーティストが出演した。その模様は、7月19日放送の『69号室の住人』でダイジェスト版が放送される予定。普段の放送では見れない焦り気味の遠山の姿や、ゲストアーティストとのトークも放送予定だ。ライブパフォーマンスも楽しむことができる特別な放送となる。番組を見たことがない人も、69号室の自由な空気感を覗いてみてほしい。

 

取材と文・ミクニシオリ
撮影・堀田真央人