“観てもらわないと、困る”ザ・映画『プアン/友だちと呼ばせて』【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
こんにちは、黒田勇樹です。
8月18日から始まるカプセル兵団の《アナザーメディアオペレーション》舞台『うしおととら』に出演させていただきます。カプセル兵団さん自体が5年ぶりに始動するとあって、出演する以前にそれだけでわくわくです。
実は例の毎年恒例の夏のドラマの作業中で、まだ稽古に合流できてないんですが、漏れ伝わってくる話ですげぇー作品になることは確信しておりますので、興味のある方はお早めにぜひ!
今回はオンライン試写会で見させていただいた作品です。では始めましょう。
そもそも、僕はいつもこうやって800~1200文字の中で1本の映画を語ることを生業としているのですが、本来、2時間の映画は、3年かけて脚本書いて半年かけて撮影して、やっと2時間にまとめたものをご覧頂くコンテンツなので、5分で読める文章で全部が伝えられるワケがないし、それで全貌が伝えられちゃう映画なんか、映画じゃない!と、いう後ろめたさが常々ありました。
本作は……… 2時間、しっかり観て!面白いから!
必要なことは、全部画面の中にあるから!なんにも用意しないで“宇宙人に連れ去られて、突然、映画館に放り込まれた”みたいな気分で観て!って映画でした。
これ以上書くことないぜ! どうしよう!? タハハ!
今作は大監督ウォンカーウァイが、惚れ込み自ら持ち掛け、バズプーンピリヤ監督と共作した作品なんですが、画の美しさや、ストーリーの湿度は、非常にウォン監督のテイストにも近しく、味わい深くあるのですが、斬新なのに斬新じゃないというハチャメチャ構成。
余命宣告を受けた友人を元カノの所へ連れていくという“使い古されたアイデア”みたいなバディもののロードムービーで、キーになるアイテムが“カクテル”と“カセットテープ”。
「そんなんで、新しい映画、撮れるの!?」って、思いが15分ぐらいでぶっ飛ばされます。
「え、なにこれ、ずっと観ていたい」
ミステリーといえなくもないけど、あくまでもヒューマンドラマで、その“人間というミステリー”へ、美しい画で没入させていく技術は圧巻でした。
なんかもう、マジで“観て”としか言えない作品に、久しぶりに出会った快感すごかった。
恋多き男たちの物語なので、女性からは意見が分かれるかもしれませんが、恋多き筆者からは多分に共感でき、かつ、新しい視点を得られる「どうしたらこんなに素敵な脚本が書けるんだろう? もはやこの監督、恋愛したことないのか!?」と、思ってしまいかねない、リアルでファンタジーな傑作でした。