都医師会・尾﨑会長「全数把握すでに破綻」「国として新しい対策打ち出して」待機期間解除後初の会見
東京都医師会は16日、尾﨑治夫会長が新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者となったことで延期していた定例記者会見を都内で実施した。
「私も濃厚接触者になって療養していました」
尾﨑会長は冒頭で「私も濃厚接触者になって療養していましたが、幸いなことに感染はしなかったので元気にやっております」と挨拶。
第7波の感染予防に「まだウレタンマスクや布マスク、ずれて鼻出しマスクになっている方もたくさんいらっしゃる。第7波のBA.5という変異株は感染力が強く、室内でのエアロゾル感染が主流になっているので、ウイルスを吸い込まないために不織布マスクをしてもらうことが大事。不織布マスクをフィットした状態で着用していると、マスクから排出するほうも吸い込むほうも8割程度のウイルスを予防できます」と、改めて不織布マスクの着用を提言した。
3回目のワクチン接種についても「20~30代の人は月に2.5%程度ずつ接種が進んでいるが、このペースだと全体の6割が3回目接種を終えるのに2カ月ほどかかってしまう。そうではなく、第7波を収束させるために今、3回目接種を打っていただくことが非常に大事」と言及。
「従来のワクチンでも、BA.2.75に対しBA.5同様の中和抗体価が得られるという研究結果が出ています。3回目接種をしていても感染する方はいらっしゃいますが、重症化しないことは明らかで、感染した際に排出するウイルスの量も少なくなるといわれている。3回目接種を打った人が感染しても、次の人に移す感染力が弱まるわけですから感染拡大が防げる。高齢者・医療従事者・介護従事者の4回目接種も大事」と訴えた。
感染疑い「20~40代の方は、まず抗原検査を」
さらに、感染を疑う症状が出た場合の受診の流れを「20~40代の方は、まず抗原検査をしたうえで、陽性の方は東京都陽性者登録センター(WEB)に登録していただきたい。登録センターでカバーできない部分は地区医師会が協働し、診療・検査医療機関以外でセンター方式の発熱外来が設置できないか今後アンケート調査をする予定。発熱外来(診療・検査医療機関)には、60代以上の高齢者や基礎疾患のある方を中心に受診していただくことで早期診断、早期治療に結びつけて重症化を防いでいく振り分けが必要」と説明。
また、政府の行動制限は行わない方針に「私どももそれはそれで納得している」としながらも「日本の新規感染者数は、先進国の中で世界一といわれているが、これまで死亡者数は圧倒的に少なかった。しかし、最近になって亡くなる方が1日あたり200人を超え、これが1カ月続くと6000人以上となり、少なかった死亡者数が今後かなり増えてくる可能性がある。感染者や濃厚接触者もどんどん増え、企業や店舗が営業できないなど経済的な打撃につながっています。今の現状を見るに、国として何らかの新しい対策を打ち出していただきたい」と注文をつけた。
会見の後半、尾﨑会長は新規感染者数の全数把握に対し「PCR検査で50%という異常な陽性率を見ても、全数把握できているとはとても思えないので、すでに破綻していると思う。ある程度、数百~数千人単位の予測はできると思うので定点観測に変える。また、60代以上や基礎疾患を持つ方は全例しっかりと診断して早期診断、早期治療に結びつけることを徹底する。こうした形に変えていったほうがいいのではないか」と見解を述べた。