宝塚版ハイロー開幕 真風涼帆のコブラにEXILE HIROも「吸い込まれた。前のコブラを忘れるぐらい」⁉


 宝塚歌劇団の宙組公演 TAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE『HiGH & LOW ーTHE PREQUELー』が27日、宝塚大劇場で開幕した。男たちが拳を交え想いをぶつけ合いながら鍛えてきた作品や世界観と宝塚による解釈・表現と出会い、これまでにはなかった魅力を振りまく。

 物語は、シリーズの前日譚(THE PREQUEL)だ。物語の中心となるのは、伝説のチームだったムゲンが解散した後に頭角を表したチームのひとつ「山王連合会」のリーダーのコブラ(真風涼帆)。「White Rascals」「RUDE BOYS」「鬼耶高校」「達磨一家」らとの抗争が続くなかで、コブラはある女性と出会い恋に落ちる。守るべき女性、守るべき街の間で葛藤する男たちの愛と戦いの物語が展開する。

真風涼帆の演じるコブラに沼る人続出必至!

 初日を控えた26日、通し稽古が公開され、「HiGH & LOW」プロジェクトの総合プロデューサーを務めるEXILE HIROも鑑賞。終了後に真風が演じるコブラについて聞かれると、「スーパースター、トップスター! やっぱすごいなって。存在感があって、さすがだなと思いました。真風さんはコブラだと吸い込まれました。前のコブラを忘れるぐらいに……(笑)」


『HiGH & LOW ーTHE PREQUELー』は見る人によって印象が大きく変わる作品といえそうだ。宝塚らしさと、LDH JAPANらしさ、そのどちらもが前面に出ている作品。どちらか片方に寄ったり引き寄せられているわけでもなく、また、その中間でもない。

 HiGH & LOWシリーズといえば、数えきれないほどの個性的なキャラクターたちと、「行くぞテメェら!!!」のセリフをきっかけに始まる男たちのド派手な乱闘シーン。宝塚版においても、チーム同士がぶつかり合う場面はふんだんだ。ただそれもまた、“宝塚らしく、LDHらしい”。

 26日に行われた取材で、演出の野口幸作氏は「宝塚というのは武器を使って戦うことが多いんです。ただ、ハイローは基本的に素手で闘う。拳で戦うときに女性らしさが出ないようにということをすごく意識しました。映像では、リアル男性が演じてますし、人数もいっぱいいるし、アップもできますし、迫力は絶対及ばないと分かっていた。だったら、セットを回してスペクタキュラーに見せていったり、各チームの名ゼリフを歌舞伎的に言いながらやっていったり、そういった部分で演出している」と説明。


 各チームにはそれぞれテーマソング、チームを象徴するダンスがある。物語が進行する中で、それぞれのダンスシーンが重ねられていくと、ストリートダンスのダンスバトルを見ているかのように、緊迫感が高まっていく感覚も。

「達磨一家の部分で『VOICE OF RED』という曲があります。曲のイメージから宝塚の和ものレビューの盛り上がりを表現したいと思い、ネオジャポネスクっぽいものを取り入れて、宝塚のお客さまにもおなじみの番傘を使ったり、花魁が出て来たり、生演奏の太鼓、ヒップホップ、ラップ……あの場面にはいろんなものが入っています。宝塚とLDHとのコラボが一番分かりやすい場面だなと思っています」


 もうひとつ分かりやすい宝塚らしさを挙げるなら、やはりロマンス要素。運命的な出会い、ひかれあう二人、ドラマティックな出来事、避けられなさそうな運命……。野口は「LDHさんの『Love、Dream、Happiness』に、宝塚独自のRomance(ロマンス)を加えて、Love、Dream、Romance、そしてHappiess。LDRHをモットーに一生懸命頑張ってきた」とユーモアを交えながら説明した。

 その一方で、LDHらしさと言えば、まず音楽。勢力争いを繰り広げる「山王連合会」「White Rascals」「RUDE BOYS」「鬼耶高校」「達磨一家」の各チーム、それぞれの特徴が反映されたテーマソングを筆頭に、LDHに所属するグループやアーティストによる楽曲がふんだんに使用されている。ダンスもグループやアーティスト、楽曲へのリスペクトを感じるもので、ストリートダンス要素もたっぷり。ラップもする。

 通し稽古終了後、取材に応じたEXILE HIROは「改めてHiGH & LOWの在り方、解釈の仕方みたいなものを感じた」と熱っぽいコメント。「HiGH & LOWは、いろいろな人の解釈がHiGH & LOWというブランドで表現されていくシリーズもの。メディアミックスというよりは、演出する人や演じる人によって、いろいろな形に変化し、いろいろな解釈で表現されるーー、それが原点の思いでした。宝塚さん、野口さんが演出してくださったこの舞台を見てそれを思い出させてもらって、今後につながる刺激をいただけました」

 自身も長きに渡ってダンサー/パフォーマーとして活躍してきた。ダンスについて聞かれると「宝塚さんのオリジナルが表現されていて刺激をいただきました。殺陣とかアクション以上にさらにダンスをみたいなと思ったぐらいダンスが合う舞台。これからさらにブラッシュアップという話がありましたが、ダンスを増やしてほしいと言ったぐらい」と前のめりだった。

 9月26日まで同所で。その後、東京公演が東京宝塚劇場である。日程は10月15日~11月20日。

 

「HiGH & LOW」シリーズ最新映画は9月9日公開

「HiGH & LOW」シリーズは、EXILEや三代目 J SOUL BROTHERSが所属するLDH JAPANが手掛ける総合エンタテイメント。2015年に連続ドラマから始まった“ハイロー”シリーズは、2020年までにシリーズ5作が放送され、映画シリーズは7作を上演しており、9月9日には最新作『HiGH&LOW THE WORST X』の公開が控える。プロジェクトは、音楽、ライブ、コミック、ゲームと広がりをみせている。

■宙組 東京宝塚劇場公演『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』『Capricciosa!!』
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2022/highandlow/