喫煙所が防災拠点に!? JT、墨田区と大阪に「防災喫煙所」地域住民に防災情報を発信

写真右よりJT東京支社の島川敏彦支社長、墨田区都市計画部危機管理担当の中山誠部長、NPO法人プラス・アーツ東京事務所の小倉丈佳所長

 JT東京支社の島川敏彦支社長は、「防災喫煙所」設置への思いにふれて「東日本大震災の際、ちょうど栃木県・福島県を管轄する拠点で社員数十名と共に被災しました」と経験を明かす。

「すぐ逃げられるよう建物の1階に退避していたのですが、そういった時になると地域の避難場所がどこにあるのか思い出せない。たまたま地元の人間が1名いて、近くの中学校にメンバー全員で避難しました。今回、避難場所に指定されたことを名誉に思うと同時に、1人でも場所を知っている人がいれば案内できる。そうした意味で、喫煙所で何となく“ここが避難場所なんだな”と知る人が増えていくことが大事なのではないか」(島川支社長)

 墨田区の山本亨区長は「このたび、JT周辺を新たな避難場所とすることにご協力いただいたことに加え、同社のご配慮により、区民の皆さんへの避難場所の周知および防災計画の向上に向けて、東京支社に併設されている喫煙所の改修に際して、防災情報を盛り込んだデザインを取り入れていただきました。この取り組みが区民の皆さんの災害への備えの一助となることを期待すると共に、今後も地域の力を生かしてすべての区民が安全・安心に暮らせるまちづくりに努めていきます」とコメントを寄せた。

 JT東京支社の春日通り沿いに設置された「防災喫煙所 イツモモシモステーション」では、外側に同所が「避難場所」である旨が分かるグラフィックとステートメント、内側に墨田区ホームページの防災情報などへアクセスできるQRコード、災害用伝言ダイヤルや伝言板の使い方などの豆知識を掲出。イラストをふんだんに使い、必要なことは最低限に絞ってグラフィックに落とし込んだという。

「防災喫煙所 イツモモシモステーション」は今後、さまざまな自治体や企業・団体と連携しながら設置を進め、デジタルサイネージや太陽光パネル、災害対応自動販売機や備蓄倉庫といった機能の追加も視野に入れている。