坂本昌行「自分の引き出し、出し切る」児童連続殺人犯演じる舞台『凍える』開幕
坂本が演じるラルフは、幼少期に経験したことがきっかけで児童に執着し殺人を繰り返してしまうという難役。「ガムシャラに、とりあえずの前にあるラルフという役と向き合いながら役作りをしました」と、坂本。「どのようなところから役に近づいて行ったらいいのか正直わからなかった」としたうえで、「役作りをするうえで、いろんな痛みを抱えている人間ではあることは理解して、人である以上、心の奥底に何らかの痛みであったり苦しみであったりというのを持っていると思いました。自分の過去を振り返った時に大なり小なりあったことを思い出して、それを重ね合わせた時に、ここはあの気持ちをもっと膨らませたらもっと痛みが出るのかなと、そういうなんかことをやりながら構築しつつ、長野さん、杏ちゃんからいろいろいろいろ話を聞きました」
長野は娘が生きて帰ってくることを20年間信じ続けている母親ナンシーを演じる。「娘を殺害された誘拐された役ということで、感情移入しやすいし、同情しやすいっていうか、自分自身も他の皆さんも(ナンシーの)境遇や心情をわかってもらいやすいのかなと思います。私自身も娘がいますし、これを読んだ時に気持ちがいっぱいになってしまいまして、それで終わってしまいました。栗山さんにお会いして、いろんな表現をつけていただいて、色をつけてもらったっていうか、形にしてもらったっていうか、そういう思いでいっぱいです」
ラルフを担当する精神科医アニータを演じる鈴木は、アニータは「ラルフのことを説明していく役回りというかそういう立場でもあり、本人は本人で自分の問題を抱えていて、とても激しい揺れ動きがあるような人物」だとしたうえで、「その行ったり来たりがなかなか難しい。セリフも学術的なセリフが多いので、切磋琢磨している毎日です」と、充実した表情。
また、「やればやるほど、いろんなことが発見できる戯曲だなと感じていて、昨日も今日もまた発見があったり。どれだけたくさんのものを見つけられながら、千秋楽まで深めていけるかっていう。初日が開けてもどんどん成長していくような芝居。色々試されるので、役者としては怖い戯曲なんですけど、ちゃんと自分と共演者と、そしてスタッフの皆さんを信じて千秋楽まで常に発見しながら進んでいければなと思います」と、話した。