平野紗希子プロデュース、“時”をテーマにオリジナル和菓子を展開する「和菓子屋 とき」
玄関に入り、上がり框(かまち)を上がると「THE NATURE OF TIME」を表現したインスタレーションと、グランドセイコーの腕時計を展示したスペースがある。
クリエイティブディレクターの平野さんは、和菓子の魅力を「単純においしいとかかわいいだけではなく、一瞬で消えてしまうような儚い風景を手のひらに収まるお菓子の中にそっと写し取る。そういった世界観も含めて味わえ、とても歴史のあるところが素晴らしいと考えていました。それは職人さんが四季をどのように見るか、時をどういう風に感じるかといった感性と、具現化するクラフトマンシップがないと成し得ないもの。実はグランドセイコーさんのコンセプトとも合致するところがあって、今回『時を食む』をテーマにした期間限定の和菓子屋を開店することになりました」と説明。
アートディレクションを務めた田部井美奈さんは、インスタレーションについて「和菓子の色や形、透明感を目で見て感じる感覚を大事にしていただくお部屋にしたいと考えました。什器は時計の文字盤と同じ丸で表現し、4つのお菓子を文字盤のように配置しました。和菓子をじっと見ていただくと下に小さな波紋が現れ、時計の下にも同じように水を張って波紋が起こります。水の波紋はささいな日常の変化であり、和菓子の世界にも取り込まれている表現で、グランドセイコーさんが大事にされてきたものともシンクロする」と語る。
什器の周りには光が回転し、そこでも時計が感じられるようになっている。この波紋や光はその日の天気や気温、湿度といった条件でも変化する繊細なもの。和室に張られた障子はこのイベントのために改めて設置したものだという。