リサイクルボックス≒ポストとは?

10月20 〜26 日の間、渋谷マークシティ マークイベントスクエアにて、設置されている「ペットボトルポスト」

 6月9日並び「リサイクルの日」と呼ばれている10月20日に「生まれ変わって、次の人に届くペットボトルポストイベント」なるものが渋谷で実施された。

 イベントを実施したのは、使用済みペットボトルを新しいペットボトルに生まれ変わらせる「ボトルtoボトル」水平リサイクルに積極的に取り組んでいるサントリー食品インターナショナル(株)だ。

 サントリーはこれまでもペットボトルの分別の啓発に注力してきており、“ペットボトルはゴミではなく、適切な分別・回収により何度も循環できる「資源」である”ということを伝えるためのマーク「ボトルは資源!サステナブルボトルへ」のロゴを自社のすべてのペットボトル飲料(ラベルレス商品を除く)に掲載していく活動や、自治体と連携し小学校などでリサイクルに関する出張授業などを展開している。

 さらに猫のゆるキャラが身近なサステナブルを啓発する短い動画『それだって、サステニャブル。』は、シリーズ合計で1000万回以上再生されている隠れた人気コンテンツだ。

 飲料業界において、水平リサイクルを推進していくうえでの課題は、回収される使用済みのペットボトルの品質にあるという。実は、飲み残しがあったり、分別できていないペットボトルは、水平リサイクルの選別工程ではじかれてしまい、新たなペットボトルに生まれ変わりづらくなってしまうのだ。確かに、家では中をすすいでキャップとラベルをはずし、資源として出していても、家の外では分別できていないという人も多いかもしれない。

 そのような課題意識を持った上で今回、渋谷のイベント会場でお披露目となったのが、青い色をした「ポスト」だ。

「ペットボトルは、正しく分別すれば、新しいペットボトルに生まれ変わり、次の人に届く」「街中にあるリサイクルボックスはゴミ箱ではなく、次のひとに届く入口、すなわちポストみたいなものである」と多くの人に思ってもらいたいという思いからポストという発想が生まれ、リサイクルの日に合わせてこのイベントを実施することになったという。

 

ラベルとキャップとペットボトルの分別を促す仕組みの「ペットボトルポスト」

 ちなみに、外ではペットボトルの中をすすぐのは難しい場合も多いが、その際は最後まで飲みきることが大切だそう。

 なぜここまでリサイクルの啓発活動に力を入れるのか、サントリーの担当者は「循環型社会の実現に向けて、我々メーカーがもっと頑張っていかなければならないが、より多くの方に協力、参加いただくことも不可欠です。そのためには単に分別してくださいとお願いするだけではなく、水平リサイクルを推進していく意義をしっかりとお伝えし共感していただく必要がある」と答えた。

「ペットボトルポスト」はあくまでも思いを伝えるためのイベント用のもので今後常設していく予定は無いとのことだが、イベントを通じて、街中の自動販売機横にあるリサイクルボックスはゴミ箱ではないということと、次の人に届く入り口・ポストのようなものという考え方は広く伝わったに違いない。

 石油は限りある資源。水平リサイクルであれば、その化石由来原料を新たに使わずに何度も循環していく事ができること。また、ペットボトルを資源として製造する水平リサイクルであれば、新たな化石由来原料を使ってペットボトルを製造する場合と比べて、CO2排出量を約60%削減できること。ゆえに、ペットボトルはゴミではなく資源であること。サントリーに限らず、飲料業界全体でこれらの「意義」をどれだけ伝えられるかが、水平リサイクルの推進のカギとなりそうだ。