日照時間、からっ風生かし発電を「住みたい未来の浜松市」をテーマに小学生がプレゼン大会〈浜松市小学生SDGsコンテスト〉 


 静岡県浜松市在住の小学生たちを対象にした『浜松市小学生SDGsコンテスト』が22日、同市内で行われた。「住みたい未来の浜松市とはどんな街か」「それを実現するためにできることは何か」をイラストを用いながらプレゼンテーションしてアイデアをぶつけあった。

 浜松市在住の小学生を対象にアイデアを募集。コンテストには応募者のなかから選抜された10チームが参加した。個人やグループなどチームの構成はさまざまで、それぞれが「森林」「エネルギー」「多文化共生」「その他」の4つのサブテーマからひとつを選んでアイデアをまとめ、発表した。

 多かったテーマは「森林」「エネルギー」。日照時間が長いこと、「遠州のからっ風」と呼ばれる冬場の強い風など、浜松市ならではの環境を生かしてより効率的にエネルギーを作り出す提案、バスなど乗り物に太陽光パネルを設置すること、二酸化炭素の輩出をゼロにする家、森林保全の取り組み、間伐材を使った机や椅子などを教育現場で使用し理解を深めて市の魅力をアピールするなどさまざまなアイデアが飛び出した。また、人口に占める外国人の割合が高いこともあり「多文化共生」についても提案があった。子どもたちの熱心な発表を聞いてペンを走らせる審査員の姿も見られた。

 

 各チームのアイデアは審査員と子どもたちによって審査され、優秀賞は、同じ英語学習塾で学んでいる6年生4人で構成されたチーム8(大河内想来さん、石川花楓さん、高山詩乃さん、茂川ことみさん)が「森林」のテーマのもとでまとめたアイデア「浜松材料リサイクル」だった。間伐材を活用するアイデアで、木を育てるところから利益を生み出すまでの循環型プロジェクトで、体験や学習を通じて森林への理解や愛を深め、そこから雇用など人の循環、お金を生み出す仕組み、商品を作る際のエネルギーの循環についても考えた大人顔負けの提案だった。

 同チームは、2023年3月に東京で行われる「こども未来国連会議」への参加権を獲得した。

 

チーム8のメンバー

 メンバーは「受賞すると思ってなかった」「びっくりした」と口を揃え、たかやましのさんは「発表する前にいろいろなことを調べてきて、みんなで言いあったりして、そういうのが生かされたと思います」。リサーチやプレゼンテーションには家族も協力的だったそう。東京で行われるこども未来国連会議については、「人見知りなので知らない人と会って話すのは得意じゃないけれど、自分の意見をちゃんと伝えられるように頑張ります」(大河内早苗さん)とのこと。英会話学校の仲間ということもあり英語での発表はあるか?と聞くと「それは……ないかも」と恥ずかしそうに笑っていた。

浜松市の鈴木康友市長

 主催で審査員も務めた一般財団法人ピースコミュニケーション財団の一木広治代表理事は「審査はすごく僅差でした。我々のプロジェクトが大事にしているのは大人の意見だけじゃなくて子どもの意見。選ばれたチームは、大人の審査員でも、子どもの審査でも両方とも1番の結果でした」と挨拶。また、「みんなの意見を聞けてうれしかったです。これからも浜松から日本を元気にするために参加してほしいと思います」と話した。

 同じく審査員を務めたNPO法人エコロジーオンラインの上岡裕理事長は「22年もNPO法人をやっていると若い人たちが動き始めて、それが形になっていくのが見えます」とし、「みなさんが考えたことが5年後10年後に形になる可能性もあるので、みなさんが今感じていることを思い続けてほしい」とエールを贈った。

 浜松市出身で浜松やらまいか大使の「死ぬまでに行きたい!絶景プロデューサー」の詩歩さんも審査を担当。こどもたちの大人顔負けの発表を見守り、「海外に興味を持って、海外に行けるようになったらたくさん旅行していろんなものを見て触れてほしい」と話した。

 浜松市の鈴木康友市長は「それぞれ素晴らしいプレゼンテーションで感銘を受けました。これからもみなさんに浜松の未来、日本の未来、地球の未来のためにSDGsに関心を持っていただきたい」と期待を寄せた。

  浜松市は、2018年にSDGs未来都市に認定されている。「森林」「エネルギー」「多文化共生」に関する取り組みがSDGs推進に関して優れたものとして高く評価されたもの。これを受けて、同市ではSDGs未来都市計画を策定し、SDGsの達成に向けてさまざまな取り組みを進めている。