都医師会・尾﨑会長、第8波のカギは「ワクチン接種、抗原検査、換気」忘年会シーズン前に

 東京都医師会は8日、都内で新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策について定例記者会見を行った。

感染症対策について会見を開いた東京都医師会の尾﨑治夫会長

 冒頭で尾﨑治夫会長は、8日午前の加藤勝信厚生労働大臣の会見の発言「第8波を念頭に先手先手で取り組んでいきたい」に触れ、「医療提供体制の確保という話もあったが、第6波、第7波の東京を見ると、これ以上どうやって医療提供体制を充実させるのか」と問題提起。

「何とか病床を空けることができたとしても、医師や看護師の数、超高齢化社会の中で心臓病や脳卒中など冬場はさまざまな救急患者が増える時期でもある。新規感染者数というのは段階的ではなく急峻(傾斜が急でけわしい)して上昇していくわけで、そのスピードに対応できる医療体制を作れるかというとなかなか難しいのではないか」との見方を示した。

 そのうえで「現在、第8波に入りかけていると考えていますが、ここで感染症を抑えるために有効な対策として、今、一番できることは何かといったら、やはりワクチン接種ではないか。ワクチン接種をすれば、2週間後に抗体ができることによって、相当数の感染抑止になると私は思っています」と訴えた。

 改めてワクチン接種の意義を「4日のロイター通信によると、米ファイザー製のオミクロン株対応ワクチンの追加接種から、1カ月後に抗体価が約4倍に上昇したと報道があった」と説明し、「現在、ワクチン接種で獲得する抗体価はおよそ4カ月、コロナ感染による自然免疫は2~3カ月で落ちてくるといわれている。2回目以降のワクチン接種をしていない方は必ず3回目接種を、高齢者、医療・介護従事者は速やかに5回目接種をしていただきたい。できれば11月中にインフルエンザと共にワクチンを接種していただいて、少なくとも12月中旬までに抗体価ができるように対策していただければ、第8波の新規感染者数はかなり減ってくるのではないか」と述べた。

 また、高齢者施設利用者でワクチンを接種しても抗体価が上がらない人に、抗体検査を活用して感染から守っていく体制の構築を検討するとし、同時流行対策として自宅で抗原検査キットでコロナ陽性かどうかを判定、インフルエンザの可能性があれば診療・検査医療機関や発熱外来を受診する流れを説明。「感染初期や唾液検査は検体採取のタイミングで偽陽性、陰性が出る場合もある。半日~1日空けてもう一度検査すると陽性になる方もいるので、できれば抗原検査キットは複数用意していただきたい」と呼びかけた。

 また、これからの忘年会シーズンの会食について「年末年始は人と集まる機会が多いと思います。もし不特定多数の人と集まる機会があれば、集まる前になるべく抗原検査で陰性を確認していただいて、換気を徹底しているお店、空気清浄機などを設置しているお店を選んで行っていただければ楽しい時間が過ごせるのではないか」と換気の重要性についても言及した。