DA PUMPのTOMOとYORIが語る「渋谷とダンス」 ストリートダンスの祭典「Shibuya StreetDance Week 2022」でアンバサダー

DA PUMPで活躍する2人にとっても、渋谷は重要な場所だった

「渋谷で踊るということ」

――その渋谷系っていうのは音楽の渋谷系ではなく……?

TOMO:そう、ダンスの。ちょっと前の話ですけどね。

YORI:新しいものを追っている人たちで。TOMOくんは渋谷系だよね!

TOMO:僕は完全に渋谷系(笑)。時期的には2000年を少し過ぎた、ハーレムシェイクとかヒップホップの新しい動きがどんどん入ってきてたころ。YouTubeの時代はまだ来てなかったから、VHSなんかを掘って、向こうのアーティストのミュージックビデオでちょっと映るダンサーさんみたいなのが情報源でした。当時はアメリカのテレビ番組を録画したようなやつを手に入れて、みんなでこの動きヤバいねって盛り上がって、自分らの振り付けに取り入れて、渋谷のクラブで披露するみたいなことをやってました。そうすると「新しいことやってるね!」ってなるんですよ。そういうのが渋谷系。

YORI:僕はというとその正反対。オールドスクールで、昔からあるダンスをやってたんです。それで、渋谷系の人たちが集まるクラブに行って渋谷系のダンスの人たちを見たりすると、僕たちも…ちょっと渋谷系を目指すわけですよ…。

TOMO:え? 目指してたの?マジで?(笑)

YORI:そう、渋谷系のイベントに出ようよって。オールドスクールだとやっぱりスーツにハットで踊る感じなんですけど、ヒップホップの格好して、そういう曲使ってポップを踊る。そういうのをやって渋谷系のイベントに出てました。

TOMO:すごいウケてたよね。

ー-オールドスクールの人が渋谷系のクラブに来てウケるって、そのあたり寛容なんですね。ダンスというとバチバチに対抗しあうみたいなイメージもありますが、その当時の雰囲気なのか、また渋谷という場所がそうするのか。

YORI:そこは、オールドスクールとニュースクールだったからじゃないかなと思います。渋谷系の間、オールドスクールの間ではバチバチはあったかもしれないけど、やってることが離れてるから情報交換もしますし。…正反対ともいえるところにいたから、一緒のチームになるってなったときにはびっくりしたもの、どういうことやるんだろうって。思わなかった?

TOMO:思ったよ!(笑)

ー-今は一緒に踊ってみて……?

TOMO:もう寄り添ってます。

YORI:TOMOくんの振りが入りやすくて!もうTOMOくんの振りの体になってます(笑)。

「認めてくれる人が多い」渋谷

ーー渋谷はダンサーにとって居心地が良いのでしょうか。バチバチの話じゃないですけど、コミュニティーだったり、ジャンルのなかでの先輩後輩といったヒエラルキー的な窮屈さがあったりとかは?

YORI:……そういう意味で言うとですね、地方のほうがそうしたピラミッドが大きくしっかりしていて、渋谷はそのピラミッドが小さくていっぱいある感じなんですよ。だからかな……なんか認めてくれる人が多いです。他のところだったらそれは違うって言われてしまいそうなことでも渋谷だと「面白いね!」ってなることが多かった気がします。そう思うと、渋谷ってより自由に自分のダンスができた場所。これからもそうじゃないかと思いますね。

ー- それぞれ個性があるのだから、それをまず認め合おうみたいなダンスのダイバーシティ的な話かもしれませんね。ダンサーもダンスそのものも育ててくれる街、渋谷!みたいなことも言えるかも。誘導するみたいになってしまいますが、渋谷に来て踊って良かったですか?

TOMO:そうですね。昔は先生とかに「ダンスってこんなに厳しいんだぞ」って教わりましたけど、渋谷に行ったら「なんて楽しいんだ」ってなりましたからね。

YORI:本当に、それ!本当に、それ!

TOMO:めちゃくちゃ楽しいじゃんって! これやっていいんだって。自由度が。

YORI:先輩たちが一緒にグルーヴ出して踊ろうみたいなのをやってくれて、楽しい空間がありましたね。

ー-お話を聞いていると、渋谷とダンスの関係やそこから生まれたカルチャーというのが見えてきます。いろいろなダンスやダンサーが集まっていた場所、ジャンルの異なるチームが一緒に踊れる場所や空気があって、他のチームがカッコいいと感じることをやっていた渋谷系がいて、その渋谷系が存在してたのも今ほどインターネットとの距離が近くない時代に渋谷にはレコード店だったり情報が集まっていたから。当時も今も「渋谷で踊る」というのは、ある意味、ブランドになるんでしょうか?

YORI:世界から見たらブランドかもしれないですけど、日本のなかではそうは思わないですね。どこでもみんな踊ってますから。大阪なら昔からのポップの街、東京ならハウスとかジャズ、九州ならブレイキンとかロック、とか。そうしたルーツみたいなものもありますしね。

TOMO:ダンスに限らずですけど、渋谷ってカルチャーが根付く街なんですよ、世界的に見ても「シブヤ」の 3文字はアメリカに行っても通じる部分があると思うんで。渦巻くカルチャーがSNSを使って発信されてる感じもめっちゃしますし。

YORI:渋谷はアンテナが張ってる場所で、そのアンテナのサイズは大きいよね。